「医学部を語る〜北海道編〜」イベントレポート(2017年夏実施)

2017年夏、全国各地8つの会場にて、代々木ゼミナール・Y-SAPIX共催セミナー「医学部を語る」を開催しました。

医学部医学科全体の動向や今後の展望を分析した第1部全国編に続き、第2部として、各地の医学部に焦点をあて、近年の入試状況や対策等についてお話ししました。

大学設立の背景、アドミッションポリシーについて

北海道内(以下、道内)の医学部医学科を設置している3大学、

  • 北海道大学(以下、北大)
  • 札幌医科大学(以下、札医)
  • 旭川医科大学(以下、旭医)

においては、大学毎に設立の背景が異なります。すなわち、大学の理念や目指すところも異なるということです。

そして、大学入試の基本方針となるのはアドミッション・ポリシーです。そこで掲げられている「求める人物像」は、その大学の教育理念に見合う人を明らかにしたものであり、大学入試にはそうした入学者への想いが反映されています。アドミッション・ポリシーを把握しておくことが大学入試の第一歩になりますので、大学のホームページ等で確認しておくようにしましょう。

2018年度入試変更点

2018年度入試より、旭医において「AO入試 国際医療人特別選抜」が募集人員を5名として導入されます。

また、「一般入試 後期日程」・「AO入試北海道特別選抜」において、それぞれ募集人員が変更になります。

詳細は旭医のホームページにてご確認ください。
http://www.asahikawa-med.ac.jp/bureau/nyusi/

推薦・AO入試

出願資格比較

北大・札医・旭医は3大学とも推薦・AO入試を実施していますが、3大学を比較した場合の特徴として以下の点が挙げられます

  • ① 3大学とも、センター試験の成績が必要
  • ② 北大AOと札医の地域枠は現役生のみ出願可
  • ③ 札医と旭医は全て卒後の制約あり
  • ④ 札医は、どちらの方式も1つの高校2名以内。2枠の併願は不可。更に「特別枠」は、1浪まで出願が可能なため、主要校では別途校内選考が行われる場合もあり

また、旭医における新設のAO入試(国際医療人特別選抜)については出身地域を問わないため、北大と同様に道外からも受験が可能になっています。

選抜方法比較

北大と旭医は出願も早く、大学の学内選考も年内で、センター試験の結果を待っての合格発表になります。一方、札医は出願こそ12月頭ですが、センター試験後に大学の学内選考があるため、実質自己採点で基準点を越えた方のみが第2次試験を受けることになります。

北大AO入試試験形式

センター試験の得点が810/900点(90%)以上という基準もさることながら、第2次選考の化学と生物の内容に関する口頭試問も難しいと言われています。

札医推薦入試試験形式

センター試験において675/900点(75%)以上が選考の基準点ですが、医学科を狙う受験生にとっては決して高い基準ではありません。まずは学校内で選ばれること、そして3題構成の総合問題(○論文の読解と意見論述、○医療系の統計資料の読み取りと計算、○英文の読解+日本語あるいは英語での説明、論述)の対策をしっかりとすることが大切です。

旭医AO・推薦入試試験形式

AO入試(北海道特別選抜)・推薦入試は、どちらもセンター試験の合格基準が75%以上ですが、AO入試(北海道特別選抜)は900/1200点以上の基準を超えたかの判定の後、点数が総合点に合算されます。一方、推薦入試は675/900点以上の基準を超えたかを合否の対象とするかの判定のみに利用し、点数は総合点に合算されないという点で大きく異なります。

また、AO入試(北海道特別選抜)と推薦入試の選考において、表記の上では同じ”集団面接”となっている選考がありますが、AO入試(北海道特別選抜)では紙やホワイトボードを使って課題をまとめるグループディスカッションと、グループで説明・実行役に分かれて実験を行う実技があり、コミュニケーション能力と情報処理能力が求められます。一方、推薦入試では、一般入試の集団面接と同じく提示された課題について自由討論するというものです。

新設のAO入試(国際医療人特別選抜)は、センター試験の合格基準が1020/1200点(85%)以上とAO入試(北海道特別選抜)・推薦入試よりも高く設定されています。推薦入試と同じく、得点は合否の判定のみに利用されるだけですが、確実に高得点を取れるように対策が必要となります。また、選考における”面接”については、具体的な形式等は明らかになっておりません。

2017年度 推薦・AO入試 入試結果

北大は、2011年度からAO入試(5名)を導入していますが、2011年度に2名、2012年度に1名合格者を出して以降、5年間合格者 0名の状態が続いています。第2次選考の課題論文、理科の口頭試問、そしてセンター試験9割以上という基準が、合格をはばむ要因となっています。

札医は地域枠・特別枠ともに昨年度よりも志願者が増え、倍率も少し高くなる結果となりました。

旭医は、昨年度の推薦入試において募集人数10名に対し合格者が5名という結果でしたが、2017年度はAO入試(北海道特別選抜)・推薦入試ともに募集人員通りの合格者が出ています。こうした推薦・AO入試の結果に伴い、北大の5名の欠員が一般入試の前期日程の募集人員に追加されました。