国公立医学部の一般入試

※下記の各内容は、2020年度入試の変更点(判明分)を反映しています。

一般入試の概要

国公立大学の医学部医学科は全国に50校あります。一般入試(推薦入試やAO入試など以外)については、「前期日程」と「後期日程」の枠組みで、募集人員を分割して入試が実施されます。前期は山梨大(一般入試は後期のみの募集)を除く49校が実施していますが、後期は半数以下の20校の実施にとどまっています。また募集人員の比率についても、前期と後期はおおよそ9:1の割合で、前期に大きく偏った人数比率となっています。入試のシステムとしては、前期・後期から各1校の複数受験が可能ですが、後期の実施大学数と人数比率から考えても、実質的には前期の「1回勝負」と言えます。

入試教科・科目については、センター試験は5教科7科目(東京医科歯科大の後期のみ4教科6科目)が必須で、各日程・各大学ともに共通です。一方の2次試験については、前期と後期では傾向が異なります。前期は学科試験3教科と面接の大学が定番であるのに対して、後期は小論文と面接、または面接のみの大学が大半です。

センター試験と2次試験の配点比率についても、前述の2次試験と同様に、前期と後期では傾向が異なります。前期は2次試験の配点比率を高くしている大学が多いのに対し、後期ではセンター試験重視の比率が主流です。【図表①参照】

国公立医学部の一般入試

前期のセンター試験理科

ここからは、入試科目について項目ごとに各大学の指定状況をみてみましょう。はじめに、センター試験の理科の内容です。理科の必要科目数は全大学で「専門科目(4単位科目)」を2科目ですが、大半の大学が「物理・化学・生物からの選択」としていて、東京大などの5校では「地学も選択可能」です。この他に、山口大、佐賀大の2校は特定科目が必須となっているので、注意が必要です。

センター試験の理科については前述の指定状況となっていますが、「物理と化学」の組合せなら全大学が、また「化学と生物」の組合せなら佐賀大以外の全大学が受験可能です。【図表②参照】

国公立前期のセンター理科

前期のセンター試験地歴公民

センター試験の地歴公民の指定については、理科の指定と比較すると「定番型」のパターンはありませんが、大学数が最も多いのは、地歴のB科目か公民の「倫理、政治経済」という「4単位科目に限定」のパターンです。また、半数弱の大学は地歴のA科目や公民の現代社会など「2単位科目も選択可」としていますので、志望大学がこの範囲に限定出来る場合は、2単位科目で受験するのも選択肢の一つです。ただし、4単位科目で準備しておけば、「全大学に出願可能」です。【図表③参照】

国公立前期のセンター地歴公民

前期の第1段階選抜

国公立大学には、2次試験の受験対象(資格)者を限定する「第1段階選抜」という制度があります。これは各大学の志願者を、「センター試験の成績順に所定の人数内に絞る」などのシステムです。このような選抜を行うのは、記述式解答が主体の学科試験の採点精度を確保することや、面接試験の実施にあたって時間や手間を要することなどが理由です。「第1段階選抜」は全大学が実施するものではありませんが、医学部においては僅か2校を除いて実施を予告しています。

実施する際の条件・基準としては、「募集人員に対する所定の志願倍率」が最多のパターンです。倍率が基準に達しない場合や、基準倍率に達しても実施を見送るなどで、実際には「行われない」大学も例年あります。ただし医学部の場合は、「センター試験は目標点を確実に取る。取れないと2次試験に進めない」と考えるべきでしょう。名古屋大、鳥取大については、科目不足や科目違いの「失格」以外は志願者全員が2次試験に進めますが、センター試験が難化の年などは第1段階選抜での不合格を回避するために、志願者が集中することもあるので注意が必要です。【図表④参照】

国公立前期の第1段階選抜

前期の2次試験

続いて2次試験の内容についてです。前期日程は学科試験と面接での選抜が基本で、学科試験は英語・数学・理科2科目の3教科4科目型が主流です。

近年の国公立大医学部では、毎年のように2次試験の科目を増やす事例があります。かつては、信州大の前期で2次試験が数学・小論文・面接、またセンター試験の配点比率が8割以上と、医学部の前期としては極めて稀な入試もありましたが、現在の前期日程ではこれほどのセンター試験重視の大学はありません。また20年度の大阪大など、科目数の変更はなくても2次試験の配点比率を高める例もあり、各大学ではセンター試験よりも2次試験を重視した選抜にシフトしてきています。

前述の3教科4科目型以外の大学もみてみましょう。科目数が多い例としては、東京大や京都大などの4校が国語も必須の4教科5科目型です。また、横浜市立大は国語ではなく、小論文が必須となっています。他に小論文が必須の大学としては、群馬大があります。群馬大は学科試験の英語はありませんが、小論文の課題文に英文が含まれることが通例で、英語の代わりに英文を含む小論文と考えてよいでしょう。

一方の科目数が少ない大学については、理科が1科目の大学、また理科を課さない大学が合わせて7校あります。このうち弘前大は、17年度に理科を廃止しました。近年は科目を増やす例が多い中、逆に科目を減らした大学です。理科は現役生と浪人生で差のつきやすい教科ですので、この7校は現役生が多く受験するという傾向もあります。【図表⑤参照】

国公立前期の2次試験

前期の2次試験理科

2次試験の理科は2科目必須が基本で、その選択方法は物理・化学・生物から自由に2科目選択の大学が大半です。2科目必須でその他のパターンは7校あります。東京大は唯一地学も選択可です。北海道大は物理が必須で化学または生物から1科目選択、群馬大・金沢大・愛媛大・九州大・佐賀大は、物理と化学の2科目が指定されています。【図表⑥参照】

国公立前期の2次理科

後期の2次試験

前期日程が学科試験と面接での選抜が基本であるのに対し、後期は学科試験を課さない大学が大半です。小論文(総合問題)と面接の大学が約半数の11校で、また名古屋大などの3校は面接のみで選抜します。これらの大学はセンター試験重視の配点比率が多くなっており、後期ではセンター試験の点数が合否を大きく左右すると言えます。

大学数は少ないものの、後期で学科試験を課す大学は6校あります。この中では、千葉大・山梨大・岐阜大・奈良県立医科大で2次試験の配点比率が高く、例年2次試験での逆転を狙う受験生が集中し、高倍率となっています。【図表⑦参照】

国公立後期の2次試験

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