2017年夏、全国各地8つの会場にて、代々木ゼミナール・Y-SAPIX共催セミナー「医学部を語る」を開催しました。
医学部医学科全体の動向や今後の展望を分析した第1部全国編に続き、第2部として、各地の医学部に焦点をあて、近年の入試状況や対策等についてお話ししました。
関西国公立編
国公立大医学部の入試状況
29年度入試より大阪大が「世界適塾入試」を導入し、後期実施大学は1校のみとなりました。その奈良県立医科大ですが、前期22名に対し後期53名と後期の募集人員の比重が高いこと、また昨年、前期後期ともに志望倍率が下がった反動から、志願者を多く集めました。これを隔年減少と言います。
国公立医学部志願者数は27年度より減少傾向にあります。また、倍率に関してもここ数年低下していますが、難易度に変化は見られません。医学部を考えている受験生のみなさんは、そういった数値に惑わされることなく、志望大学への勉強に励んでください。
多くの大学で、英語・数学と同じ比率で理科2科目の配点が振られています。現役生はどうしても後回しになりがちな理科ですが、医学部を目指す上では早期に対策を始めなければなりません。
医学部単科大学の合格最低得点率は、総合大学に比べるとあまり高くありません。これは入試問題自体の難易度が高いことが原因と考えられます。逆に、総合大学医学部の合格得点率は非常に高くなっています。1つのミスが致命傷となるので、解ける問題を確実に得点することが重要です。
推薦入試状況
志望大学を受験する方法として、推薦・AO入試も非常に重要となってきました。医学部入試は、今や「前期・後期」ではなく「推薦・前期」が主流なのです。実際、推薦入試でこれだけの人が出願し、合格者も出ています。
推薦入試の多くは地域枠募集です。選考では小論文や面接が課され、センター試験の結果と合わせて選考を行う大学がほとんどです。一般入試と比べても決して負担は小さくないでしょう。ただ、出願には資格を要します。多くは住まいや学校がその府内・県内にあることと、学校の成績です。出願資格を満たしているようであれば、受験機会を増やす点でも検討してみてはどうでしょうか。そして少しでも受験を考えているようであれば、早めの情報収集・対策を進めていきましょう。
京大特色入試
28年度に引き続き出願者数が少なく、合格者が募集人員に満たない結果となりました。出願資格のハードルが非常に高いのが原因と考えられます。またその欠員分は前期の募集人員にプラスされています。
大阪大学 世界適塾入試
29年度から大阪大でも推薦入試「世界適塾入試」が導入されました。京大と同様、志願者が集まらなかった学部学科もあり、今後変更が生じる可能性もあります。大学のホームページはこまめにチェックするようにしましょう。
国公立大医学部オープンキャンパス
大学の雰囲気を知る上で有効なオープンキャンパスですが、多くの場合事前申込が必要です。人気の大学はすぐ締め切られることもあるので注意しましょう。