医学部の面接対策
面接の仕方はさまざま
現役生が特に対策を後回しにしてしまいがちなのが面接ですが、入試の上では面接も非常に重要です。
面接の形式は、個別形式(個人面接)と集団形式に大別され、集団形式には集団面接と集団討論があります。
最も一般的な形式は、個別形式(個人面接)です。2〜3人の面接官により、受験生1人あたりおよそ10〜20分ほどの時間をかけて行われます。一度に複数の受験生がいる集団面接では、個人面接に比べて全体の所要時間が長くなります。
集団討論では、提示されたテーマに沿って複数の受験生で討論をします。話す内容はもちろん、ほかの受験生や面接官が話をしている間の表情や態度も採点対象となる場合があります。
なお、面接形式の呼称に統一的な決まりはなく、集団面接の中に討論を含む場合もあります。面接の内容についてはあらかじめ入試要項の記載を確認しておく必要があります。
形式 | 特徴 | 2016年度実施大学例 | |||
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大学 | 受験生:面接官 | 所要時間 | |||
個別形式 (個人面接) |
|
筑波 | 1人:2人 | 10分 | |
産業医科 | 1人:3人 | 20分 | |||
集団形式 | 集団面接 |
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群馬 | 3人:3人 | 25分 |
北里 | 2人:3人 | 25分 | |||
集団討論 |
|
岐阜 | 3人:3人 | 15分 | |
東邦 | 4人:2人 | 15分 |
点数化しない大学は要注意
評価方法には、点数化して評価するもの、数段階に分けて評価するもの、そして「参考にする」と明記されている場合の3つがあります。
「参考」というと、それほど面接を重視していない印象を受けるかもしれませんが、実は多くの大学が用いる評価方法としての「参考」こそ、面接を重要視していることを示しています。なぜなら、学科試験で良い点数が取れたとしても、面接官に医師として不適格であると判断されたりすると不合格になる場合があるためです。
面接が点数化される場合は学科試験などで挽回のチャンスがありますが、「参考」は試験の結果に関わらず評価が下されます。つまり、最も注意しなければならない評価方式なのです。
形式 | 特徴 | 2016年度実施大学例 | |
---|---|---|---|
大学 | 募集要項掲載の内容 | ||
得点評価 (点数化) |
点数で評価され、筆記試験同様、得点が合否に直結する | 千葉 | 配点100点(2次試験1000点満点中) 外:300/数:300/理:150×2/面接:100 |
段階評価 | 段階的に評価され、合否にはある程度関係する | 横浜市立 | 数段階で評価。小論文の評価または面接の評価が一定の水準以下の場合には合格しない場合がある |
参考 | 点数などの形では評価が残らないが、「結果によっては不合格になる」場合がある | 大阪 | 「面接の結果によって、医師および医学研究者になる適性に欠けると判断された場合は、筆記試験の得点にかかわらず不合格とします」 |
受験生の資質が問われている
よく聞かれる質問を4つにまとめました。
- ① 医師になったときの具体的なビジョンを問う
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- なぜ医師になりたいのか(看護師ではだめなのか など)
- 希望の診療科はあるか
- 研究医になりたいか、臨床医になりたいか
- ② 医療に関する知識・関心を問う
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- 注目している医療関連のニュースはあるか(ニュースの○○についてどう思うか など)
- あなたが患者だとして、どんな医者に診てもらいたいか
- ③ 大学に対する知識・関心を問う
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- なぜこの大学を志望するか
- 卒業後の就職についてどう考えているか(どこで働きたいか など)
- 併願校はどこか(合否は出ているか、複数合格したらどの大学にいくか など)
- 大学に入ったら一番に何がしたいか
- ④ これまでの経歴・自分自身に関することを問う
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- 所属していた部活動や課外活動等について、何をしてきたか(何を学んだか など)
- 自分の長所とその根拠となるエピソードはなにか
必ずといっていいほど聞かれるのは、「どうして医師になりたいのか」という質問です。医師資格のグローバル化に伴い、その内容は一層重視されるようになるでしょう。大学側にとって「どうして医師になりたいのか」という質問は、本当に医師としてのやる気と根気を持ち合わせた生徒かどうかを入学前に見極めるための、最も簡潔で重要な問いです。受験者は、医療現場に携わる具体的なビジョンを持てているかどうかを振り返り、また、それを自分の言葉で言い表せるよう準備しておくことが大切です。
受験機会が複数ある私立では、しばしば大学に対する知識・関心が問われます。受験しようとしている大学の理念、アドミッション・ポリシーをご存知でしょうか。また、その大学を受験校に選んだ理由はなにか、簡潔に説明できるよう整理しておきましょう。
なお、昨今の潮流としては「もしこういう状況に置かれたら、あなたはどうするか」といったような、判断力を問う質問が増えています。さまざまな状況について、自分の立場に置き換えて物事を考える癖をつけておくとよいでしょう。
面接突破のために
多くの大学では学科試験を通過しなくては面接に進めません。従ってつい学科試験の対策に追われがちですが、最後の最後に待ち受けている面接の対策も重要です。
学科試験の結果に数点の差が見られたとしても、大学側はより医師にふさわしいと感じられる学生を選抜するでしょう。面接が課されるということは、大学が求める人物像に見合う人を選びたいという意志の表れなのです。
まずは、自分の受験しようとする大学のことをよく知ってください。これこそが面接対策の第一歩となります。
そして、日頃からさまざまなことにアンテナをはりましょう。テレビで取り上げられる社会問題、新聞に載っている医療関連の記事をチェックしているでしょうか。面接でこれらの知識を使えるようにするには、自分の言葉で説明できるまで理解していなくてはなりません。
さらに、自分はどう考えるかというところまで落とし込むと、より良いでしょう。何事にも「自分の意見」を持つ習慣をつけましょう。こうした日々の積み重ねが、面接突破の近道であるということを意識しておいてください。
面接対策のポイント
- 自分が受験したい大学のことを知る
- 報道される社会問題や医療系の時事問題について、自分の言葉で説明できるようにする
- 何事にも「自分の意見」を持つことを習慣づけ、それを口に出して話せるようにする
2023年問題
2016年現在、International Medical Education Directory(IMED)に登録されている医学部(日本ではすべての医学部が登録されている)を卒業していれば、米国での医師国家試験(USMLE)の受験資格が得られます。ところが、2023年以降は国際水準を満たして認証された大学の卒業者のみに受験資格を与えるよう変更になります。
各大学は、この国際水準に適応するべく対応を迫られています。認証を受けるために、多くの大学が患者を前にした臨床実習を増やしていく見通しです。これに伴い、入試の段階で面接や小論文といった”医師としての資質”を見る試験が一層重視される可能性があります。