各大学の入試概要
今回は、「岡山大学」「広島大学」「愛媛大学」「徳島大学」「川崎医科大学」の5校に焦点を当てながら見ていきます。
大学 | 入学定員 | 一般(前期) | 一般(後期) | 推薦/AO |
---|---|---|---|---|
鳥取 | 105 | 65 | 20 | 20 |
島根 | 102 | 62 | 実施なし | 40 |
岡山 | 115 | 100 | 実施なし | 15 |
広島 | 120 | 75 | 20 | 25 |
山口 | 107 | 60 | 10 | 37 |
徳島 | 114 | 72 | 実施なし | 42 |
香川 | 109 | 59 | 25 | 25 |
愛媛 | 110 | 40 | 25 | 45 |
高知 | 110 | 65 | 実施なし | 45 |
岡山大学
岡山大学は1870年岡山藩医学館より発祥し、もうすぐ150周年を迎えます。医学部のアドミッションポリシーは、高度な教養・専門性・情報力・行動力・自己実現力を身につけることです。また豊かな人間性が必要で「あなたのそばに先進医療」を原点理念とし、科学的思考法、高度な医学的知識・技術を体得し、使命感・人間性・倫理観・コミュニケーション力を持ち、幅広い基礎学力と問題解決能力を兼ね備えた知的探究心が強い人を求めています。
推薦入試
岡山大学は後期試験を実施していないので、原則推薦入試と前期試験しか受験できません。現役合格を目指す方は、学校の先生ともよく相談したうえで推薦入試にもチャレンジしてはどうでしょうか。
岡山大学の推薦入試に出願するためには、2浪生までの岡山県内での医療に従事する意志を持った方が、必ず入学するという条件をクリアする必要があります。
推薦入試の選考方法は、センター試験の得点(合格基準点は780点)と面接、出願書類です。
一般入試
岡山大学の前期試験は、近年第1段階選抜が実施されず、実質倍率も2.8〜2.9倍で非常に安定しています。センターは5教科7科目(900点満点)の理系のオーソドックスなパターンで、公民も全科目選択可能です。他大学を受験をする可能性もある場合は公民の科目選択には注意が必要で、例えば同じ前期試験でも広島・鳥取大学では倫理・政治経済しか選択できません。なお、2次試験は数学400、理科2科目それぞれ200、英語400の3教科(1200点満点)の学力試験と面接です。
また、後期試験が実施されず、後期で出願可能な中四国地区の大学はかなり限られてくるので慎重な選択が必要です。
広島大学
広島大学医学部のアドミッションポリシーは「人と関わり、人の健康のために学び、働く人となる意欲と、各学科・先行で行われる専門教育を修了するための学力と適正を備えた人」であり、中でも医学科では“理科や英語において高い学力を有する人”と具体的に示されているのが特徴です。
推薦入試[ふるさと枠]/AO入試
推薦入試[ふるさと枠]は、広島県出身者が対象で(岡山県出身者も2名募集)、大学卒業後に広島(岡山)県内での医療に従事する意志が必要となります。選抜方法はセンター試験と面接です。
また、AO入試総合評価方式Ⅱ型として5名の募集人員が設けられています。この募集枠は研究者養成を視野に入れた「MD-phDコース」への進学が確約できることが出願資格となっており、科学研究に関する活動歴があり、その成果等を客観的に示すことができることや数学オリンピック、生物学オリンピック等の予選合格などが出願要件となっています。
一般入試
センター試験は5教科7科目(900点満点)です。前期の2次試験は3教科4科目(1800点満点)で、英語・数学・理科[物理,化学,生物から2科目]となっています。広島大学の前期試験で特徴的なのは、配点方式が2パターンあることです。まず、理科の比重の大きいA配点で定員の半数を合格とし、残りの定員を各教科均等配点のB配点で決定します。
その他の特徴としては、「センター試験に対しての2次試験の配点が高い」ということや、「合計得点が合格ラインをクリアできていても、合格者平均点の60%未満の科目がある場合や、面接官全員が“入学させたくない”と評価した場合は不合格となる」ということが挙げられます。後期は面接のみ(100点満点)で、4名の面接官が4段階で評価します。
愛媛大学
愛媛大学医学部のアドミッション・ポリシーは「患者から学び、患者に還元する教育、研究、医療」です。医学科では具体的に、国・数・英・理・社の5教科広範な知識を有していることが求められ、中でも“英文の理解力”が重視されています。
推薦入試
推薦入試は学校推薦[推薦A]と地域特別枠推薦[推薦B]の2種類ありますが、どちらも小論文(和文・英文で出題される)と面接、センター試験の成績を総合して合否を決定します。愛媛大学は入学定員110名の内訳が、推薦入試45名、一般入試前期40名、後期25名となっているので、推薦入試による選抜人数が最も多いことになります。
一般入試
センター試験は5教科7科目(550点満点)で、国語以外の得点が2分の1に圧縮されるのが特徴です。国語だけは200点のままで計算されるので、国語の結果が合否に影響してきます。
前期の2次試験は、3教科4科目(600点満点)で、英語・数学・理科[物理,化学](各200点)と面接(100点)で評価されます。広島大学と同様に、2次試験の配点比率が高くなっています。後期は小論文と面接(300点満点)で、医学を学ぼうとする目的意識や勉学意欲・自己認識・協調性・社会性などを評価します。隔年現象を示す大学が多い中、愛媛大学の後期はここ3年連続で競争率が上っています。
徳島大学
徳島大学医学部のアドミッション・ポリシーは「高い責任感、倫理観ならびに生涯学び続ける意志をもち、国際性と研究能力を兼ね備えながら、基礎から臨床までの幅広い知識・技能を基盤として医療を実戦できる医療人へ成長できる人を求める」です。
推薦入試
推薦入試はセンター試験が1次選考で(900点満点)、傾斜配点なしの720点以上で通過となります。2次選考は集団討論で思考力・表現力・主体性・協同性を、集団面接で意欲・関心を評価されます。募集人員42名のうち17名を徳島県出身者の「地域枠」としています。
一般入試
センター試験は5教科7科目(900点満点)ですが、傾斜配点で国語と地歴・公民は配点が低く、理科は配点が高くなっています。前期の2次試験は英・数の2科目(400点満点)と集団面接(得点化はしない)で評価されます。後期の実施はありません。
その他の国公立大
鳥取大学と島根大学はセンター試験の比率が高いので、センターで高得点を取って逃げ切りを図るには比較的お薦めしやすい大学です。2次科目は理科が不要だったり1科目でよかったりと受験生の負担が少ないのが特徴です。
香川大学は鳥取・島根大学と対称的に理科の比重が高いのが特徴です。
高知大学は今年度から前期2次試験の英語をなし→300点、面接を40→100点、数学・理科は各400→300点満点に変更することで合計840点から1000点満点になりました。英語と面接を重要視する姿勢がうかがえます。
川崎医科大学
中四国地方で唯一、私立で医学部医学科がある川崎医科大学は、46年前に「人間をつくる・体をつくる・医学をきわめる」を建学理念に設立されました。川崎医科大学では特別推薦入試と一般入試で、2回の受験チャンスがあります。
推薦入試では競争率5倍台が続いていましたが、今年度は4.8倍と4年ぶりに5倍を切りました。
一般入試は3年連続で志願倍率20倍超の高倍率が続いており、今後も高い競争率が予想されます。