【前期】共通テスト理科の選択パターン
ここからは入試科目の選択パターンについて、各大学の指定状況をみてみましょう。
まずは共通テストの理科の選択パターンです。
国公立大医学部志望者は共通テストの理科で「基礎を付していない科目」を2科目受験する必要があります。大半の大学が「物理・化学・生物から2科目選択」と指定していますが、東京大、金沢大、愛媛大の3校では「地学も選択可能」です。一方、名古屋市立大、佐賀大の2校は「物理・化学」でのみ受験可能となっているため、注意が必要です。
したがって、共通テストの理科において、「物理と化学」の組合せなら全大学に、「化学と生物」の組合せなら名古屋市立大、佐賀大以外の大学に出願可能ということになります。
【前期】共通テスト地歴公民の選択パターン
共通テストの地歴公民の選択パターンについては、前述の理科と比較すると定番のパターンはありません。しかし、大学数が最も多いのは、地理歴史のB科目あるいは公民の「倫理、政治・経済」で受験可能とする、4単位科目に限定のパターンです。
また、半数弱の大学は地理歴史のA科目や現代社会、政治・経済、倫理などの「2単位科目も選択可」としています。比較的負担の少ない2単位科目を選択し、これらの大学の中から出願校を選ぶのも一つの手です。ただし、4単位科目で準備しておけば、全大学に出願が可能です。
【前期】2次試験は「英語、数学、理科2科目」が主流
続いて、2次試験の選抜方法のパターンです。前期は「学科試験と面接」が基本で、学科試験は「英語、数学、理科2科目」の3教科4科目が主流です。
上記に当てはまらない大学もあります。科目数が多い例としては、東京大、京都大、名古屋大の3校が「国語」必須の4教科5科目です。群馬大、横浜市立大、京都府立医科大の3校は「小論文」が必須となっています。群馬大は学科試験で英語が課されず、小論文の課題文に英文が含まれることが通例のため、英語の代わりに「英文を含む小論文」が課される、と考えてよいでしょう。
また、2021年度から愛媛大で英語に代えて「総合問題」が課されています。2023年度の学生募集要項には、英語の文章を読んだ上でそれについて英語で記述させる問題や自らの考えを英語で記述させる問題などが出題されると記載があり、英語の学力が得点を左右することになりそうです。
一方、科目数が少ない大学では、「理科を課さない」大学が6校あります。奈良県立医科大は2024年度より学科試験を廃止し、「小論文、面接」のみとすることを公表しました。また、弘前大は2021年度から英語、数学を廃止し「総合問題、面接」のみとしています。総合問題の内容に関しては、日本語又は英語の文章や図表などの資料を用い、英語での解答や計算を求めることもある、と入学者選抜要項に記載されています。
【前期】2次試験の理科の選択パターン
2次の学科試験は「英語、数学、理科2科目」が主流ですが、理科の選択パターンは共通テストと同様、「物理・化学・生物から2科目」の大学が大半です。
2科目必須で「物理・化学・生物から2科目」以外の大学は8校あります。東京大は唯一「地学」も選択可です。北海道大は「物理が必須で化学または生物から1科目選択」、群馬大、金沢大、名古屋市立大、愛媛大、九州大、佐賀大は「物理と化学の2科目指定」となっています。共通テストと2次試験で理科の選択可能科目が異なる大学もあるため要注意です。
【前期】共通テストと2次試験の配点比率
次に、共通テストと2次試験の配点比率です。前期では「2次試験重視」の大学が全体の約6割を占めています。特に旧帝大をはじめとする難関校では2次試験の配点比率が高く、東京大や京都大では2次の配点が80%を占めています。
一方、共通テストと2次試験の配点が同じ大学は5校、「共通テスト重視」の大学は3割以下の14校にとどまっています。
マーク方式の共通テストと異なり、2次試験は記述式の問題が中心で難易度も高くなります。記述式の問題で高得点を取る自信がない場合などは、共通テストの配点が高い大学を中心に志望校を考えるのも選択肢の一つです。