志願者数・志願倍率

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志願者数・志願倍率

2020年度前期日程の志願者数は全6科類の合計で2019年度よりも224人、率にして2.4%減少の9,259人でした。志願者の減少は2年連続となります。2年前の2018年度が2013年度以降では最多の9,675人でしたが、今回の2020年度の人数は4年前2016年度の水準です。2014年度以降を振り返ると、「2年続けて増加して3年目に減少」のサイクルにあり、その流れからすると2020年度は増加に転じるタイミングでしたが、結果として2年続けての減少となりました。

今回の減少の主要因は受験生の「超安全志向」といえるでしょう。2021年度からの入試改革への不安に加えて、センター試験の平均点ダウンが重なったことも影響しました。国立大前期の志願者数は合計で6%も減少し、旧帝大7校と東工大・一橋大も全て減少となっています。ただし旧帝大7校の中では、東北大が-8.9%・名古屋大が-6.6%・北海道大が-6.3%と減少率が大きいのに対して、東大は-2.4%にとどまっています。東大は大阪大の-1.0%・京都大の-2.2%に次ぐ状況ですので、国立大トップ校の中で、また国立大全体と比較すると東大の減少率は小幅です。

前期の志願者数は2年連続の減少ですが、第1段階選抜は全ての科類で実施されました。2013年度から2016年度にかけては不実施の科類もありましたが、2017年度以降は4年連続で全科類での実施となっています。また2016年度からは後期の募集が廃止され、推薦入試が実施されています。推薦入試の志願者数は2018・2019年度と2年連続の増加でしたが、今回は減少となりました。【図表①②参照】

【図表1】20年度前期日程志願者数等
【図表2】志願者数の推移

一般入試の科類ごとの増減をみてみましょう。前回よりも志願者が増えたのは文科一類・理科一類・理科三類で、他の3科類は減少しています。東大においても、以前は志願者の増減に隔年現象の傾向がありましたが近年は状況が変わっていて、増加や減少が連続する事例もみられます。顕著な例が文科三類で、2017年度から4年連続の減少です。志願者の増減に影響する要因としては前年の志願者の増減や志願倍率の高低もありますが、前年の第1段階選抜の最低点が最も大きく影響しているようです。文科三類は2017~2019年度の3年連続で、最低点が80%を超えていたことも4年連続の減少につながったと考えられます。【図表①⑤参照】

【図表1】20年度前期日程志願者数等
【図表5】第1段階選抜の合格最低得点率の推移

文科は各年度の倍率変化が目立ちます。年度により志願倍率の序列が変化しており、高低の規則性はありません。第1段階選抜の実施倍率が約3.0倍で共通であることも、各年度の志願倍率が大きく変動することの一因です。倍率変化が最も大きいのは、やはり最難関の一類です。例えば2012年度の3.97倍→2013年度の2.92倍など、大幅な倍率ダウンも見られます。2013年度に志願倍率が大きくダウンしたのは、前年の2012年度で志願倍率と第1段階選抜の最低点が文科の中で最も高かった影響です。また2013年度以降では、三類の倍率変化も比較的大きくなっています。2013・2016年度はいずれも倍率のアップが目立ちます。【図表①③⑤参照】

【図表1】20年度前期日程志願者数等
【図表3】文科の志願倍率の推移
【図表5】第1段階選抜の合格最低得点率の推移

理科については、一類は微増・二類は減少・三類は増加と動向が分かれました。二類は2年連続の減少ですが、三類は4年ぶりの増加です。三類は2年前の2018年度は2次試験に面接を復活させたことで、また前回の2019年度は第1段階選抜の予告倍率を約4.0倍→約3.5倍に縮小するなどもあって志願者の減少が続いていましたが、今回は増加に転じました。理科は文科と異なり、第1段階選抜の実施倍率は類ごとに変わります。一類が約2.5倍、二類と三類(2019年度から)が約3.5倍です。この実施倍率の高低と募集人員の規模(最多は一類の1,108人、最少は三類の97人)に連動して、理科については3つの類の「志願倍率の序列 (理三>理二>理一) 」ができています。類ごとの志願倍率の変化をみると、文科一類と同様に、最難関の理科三類は募集人員が少ないこともあって倍率変動が顕著です。2011年度からの10年間の倍率は2011年度の5.65倍から2019年度の4.18倍の範囲で、年ごとの変化が大きくなっています。一方で一類は募集人員が1,108人と規模が大きいため、人数として多少の増減はあっても倍率の変化は例年小幅です。【図表①④参照】

【図表1】20年度前期日程志願者数等
【図表4】理科の志願倍率の推移