学校推薦型選抜

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東大の学校推薦型選抜

東大では2016年度入試から、それまで実施されていた一般入試後期日程の募集人員100人を振り替える形で推薦入試がスタートしました。

学校推薦型選抜の基本方針は「学部学生の多様性を促進し、それによって学部教育の更なる活性化を図ることを主眼に置いて実施」であり、選抜の特徴として以下の点が挙げられます。

  • 募集枠は法、経済、文、教育、教養、工、理、農、薬、医の学部ごと。医学部はさらに医、健康総合科の学科ごと
  • 学校長が推薦できる人数は4人まで、ただし男女は各3人まで(*)
  • 同一学部・学科への推薦は、男女各1人まで
  • 合否判定は、提出書類・資料、面接等、および大学入学共通テストの成績を、募集単位ごとの基準で総合的に評価して行う
  • 大学入学共通テストは、従来の大学入試センター試験の概ね8割以上の得点と同等程度の水準であることを目安とする(*)
  • 入学後、学部が指定する科類に分かれ、一般選抜の学生とともに教養学部に所属して前期課程(第1、2学年)の学習を行う

※(*)は2021年度入試からの変更点。2021年度入試より名称が「推薦入試」から「学校推薦型選抜」に変更

志願者数の推移

6年目となる2021年度入試はコロナ禍のもとでの実施となり、推薦要件が柔軟に考慮され、出願手続きがオンラインに変更されたものの、選抜方法自体には大きな変更なく実施されました。学校長が推薦できる人数が変更となり、1校から推薦可能人数が増加したことも影響したためか、志願者数は267人と昨年度の173人から大きく増加し、これまでで最多となりました。過去5年間の平均値と比較しても約50%の大幅増となっています。

【資料1】学校推薦型選抜 志願者数​

これまでは、経済学部や医学部健康総合科学科など志願者数が募集人員に達していない学部・学科も散見されましたが、2021年度はすべて志願者数が募集人員を超えており、法学部を除く学部・学科で過去最高の志願者数となっています。

2021年度 実施状況

今年度は、志願者267人のうち第1次選考を通過したのは177人、最終合格者数は92人とこちらも過去最多となりました。工、農、薬学部以外は募集人員を満たす結果となり、人数的にも求める人材を確保できる選抜に近づきつつあるといえます。

【資料2】2021年度 学校推薦型選抜実施状況​

合格者状況推移

全体の募集人員100人程度に対し、実施初年度は最終合格者77人と80%近くの合格者を出しましたが、その後4年間は70%前後にとどまっていました。今年度は志願者数の大幅増に伴う形で合格者も増加し、初めて90%を超える合格者数となりました。一方で、志願者が増えた分最終合格率(合格者/志願者)は低下し、全体の合格率は34.5%と、推薦入試導入以来最も低くなっています。また昨年度までの5年間は、合格者数が募集人員を満たしたのが11学部・学科のうち2~4にとどまっていましたが、今年度は8に上っています。

学部ごとに見てみると、今年度初めて募集人員を満たしたのが経済、文学部、医学部健康総合科学科で、工、農、薬学部ではいまだ募集人員を満たした年がありません。一方、法、教育、理学部は、今年度までの6回の実施のうち、5回募集人員を満たしており、かつ募集人員を超えた数の合格者を出した年がそれぞれ3回ずつあるなど、学部間の状況は異なっています。

【資料3】学校推薦型選抜 最終合格者数​
【資料4】学校推薦型選抜 最終合格率推移

出身校所在地、男女別選抜状況

東大の学校推薦型選抜は、志願者・合格者における関東以外の出身校所在地および女子の割合が一般選抜より高い傾向にあります。

関東以外の出身校所在地について、一般選抜は志願者数、合格者数のいずれも40%前後であるのに対し、学校推薦型選抜では例年50%を超えており、多様化の促進に一定の寄与をしています。しかし、2018年度以降3年連続で関東以外の志願者割合が低下しており、合格率でも東京の40.0%に対し関東以外は33.3%と6.7%下回るなど、東京優位の様相を示しています。

【資料5】出身校所在地別志願者数・合格者数比率​

合格者の女子割合は開始初年度から毎年上昇し、今年度は過去最高の45.7%となりました。一般選抜合格者における女子は概ね20%弱にとどまっているため、出身校所在地以上に多様化の促進を実現しているといえる状況です。また、女子の合格率は、昨年および今年度は男子を上回る結果となっています。

【資料6】男女別志願者数・合格者数比率​