最終合格者の合格最低点

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最終合格者の合格最低点

センター試験と2次試験の総合点については、志願倍率や各年度のセンター試験と東大の2次試験の難易度に加えて、2次試験の「採点基準」も点数への影響が出ることをふまえながら、公表された点数をみてみましょう。

文科については、2013年度からの3年間は低めの志願倍率や第1段階選抜の不実施などによって、連続で合格最低点が下降しました。2次試験の「採点基準」の影響もありますが、この期間は総合点で50%台の最低点もみられました。

しかし4年前の2016年度に各類の最低点が4年ぶりの上昇に転じ、以降は概ね横ばいの点数が続いており、最低点の「安定期間」といえます。この期間の特筆事項は、前回の2019年度で文二の合格者成績が文科の中で最も高かった(データ公表が始まった2001年度以降で初のケース)ことでした。文科各類の序列は高い順に文一>文二>文三となるのが通例ですが、2019年度は最低点だけでなく最高点・平均点も含めて文二が最高となりました。この理由として、文一から文二への流出(志望変更)が例年以上に多かったことが考えられます。また、文科の募集人員(合格者数)は少ない順に文二<文一<文三であることも人数が最少の文二で合格者成績が最高となった一因でしょう。これまでは「人数の多少が相殺」されていたものの、前回は例年以上に文一から文二への流出の影響が大きかったと考えられます。ただし今回の2020年度においては、文二が敬遠傾向から志願者が減少し、最終の合格最低点も3.7%下降しました。僅差ですが文二は文三よりも最低点が低く、この10年間では3回目(2011・2013・2020年度)の状況です。また文二ほどではありませんが、文一が1.5%、文三が0.7%の下降となりました。【図表⑥⑦参照】

【図表6】20年度合格者数等
【図表7】文科の合格最低点(総合550点中の得点率)の推移

理科は文科と異なり、この10年間で点数の下降が3年以上続くなどの状況はみられません。2014年度からの4年間は合格最低点の上昇が続き、特に3年前の2017年度は各類とも3~4%も最低点が上昇しました。2017年度の理科は各類ともに、最低点の公表が始まった2001年度以降で最も高い点数であったことが注目点でした。ただし2年前の2018年度は一転して各類の最低点が3~5%も下降し、2017年度以降は理一・理二が隔年の上下動を繰り返しています。また理三については2018・2019年度と連続の下降でしたが、今回の2020年度は2019年度と横ばいで、合格最低点は70%台を維持しています。文科の最低点が2016年度以降は一部の例外を除いて概ね横ばいの傾向であるのに対し、理科については隔年の上下動や2年連続の下降などがみられ、経年変化が文科よりも目立つ状況にあります。

理科各類の序列については、この10年間も概ね理三>理一>理二となっています。一類と二類については、2012年度以降は概ね一類が2~3%高くなっていましたが、2018年度以降は最大でも1.5%差以内となっています。【図表⑥⑧参照】

【図表6】20年度合格者数等
【図表8】理科の合格最低点(総合550点中の得点率)の推移