執筆者 坂口 幸世
(代々木ゼミナール主幹研究員)
官立と公立はすべて「大学」となったが、私立でこの時期に大学に昇格したのは日本医科大学のみである。医師の養成だけを目的とするならば、認可のハードルの高い大学となることを目指さず、医師試験免除の認定を受けた医学専門学校で十分とする戦略もあったのだろう。
昭和初期の特徴は私立の医学専門学校の設立ブームである。東京で3校のほか、大阪に2校、岩手1校、福岡1校。現在の大学名で示せば、日本大学、東邦大学、昭和大学、大阪医科大学、関西医科大学、岩手医科大学、久留米大学である。