推薦入試の出願状況

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4回目となる2019年度の推薦入試

2016年度から推薦入試が実施されています。募集の概要は以下の通りです。

(1)募集人員は医学部医学科を含む合計100人程度
(2)センター試験の基準は概ね8割以上(医学部医学科は900点中の780点程度)
(3)浪人生も出願可で、1校当たり男女各1人(1校最大2人)まで

4回目の実施となった2019年度の実施状況をみてみましょう。志願者数は全学部・学科の合計で185人となり、前回の179人からは6人の増加(過去4回は173人→173人→179人→185人で推移)となりました。大学からは「わかりやすい広報活動の賜物、地道な全国行脚などの成果であり、受験生の理解や関心が高まったため」といったコメントがありました。

一方で、今回の志願倍率も1.9倍で、全4回とも2倍に満たない状況です。2回目以降の募集要項においては「出願要件は『例示である』ことを明記」などの変更がされてはいますが、上記の通り1校からの推薦人員が最大2人であることも少なからず影響しているようです。また、募集要項の表記上の変更などはあったものの、受験生や高等学校の側からすると「出願要件のハードルは高い」という意識が強いと考えられます。昨年の11月と今年の2月に実施された「記者発表」においては、大学からも「学部によって『でこぼこ(多い少ない)』もあり、求める学生像の周知の仕方などに問題がないかが検討課題である。推薦入試は『多様性・卓越性・潜在能力』がキーワードだが、どれかを強調しすぎることがないように留意したい。また、『高い関心のみでもチャレンジできる』なども発信していきたい」とのコメントがありました。さらに、「1校から最大2人など、推薦制度等の拙速な変更は避けるべきである。見直しや変更は第1期生が卒業したあとできちんと精査・検討してからであるべき」とのコメントもありました。【図表⑯参照】

【図表16】推薦入試学部別志願者数・合格者数

全体の志願倍率はいずれも2倍未満ですが、学部・学科により状況は大きく異なります。過去を含め倍率が高いのは概ね教養学部で、理学部・法学部なども志願倍率が高い傾向にあります。一方で医学部・健康総合科学科は4回とも志願者数が2人以下でした。志願者数の多い・少ない(倍率の高い・低い)については、「語学資格の明確な基準の有無」も影響しているようです。志願者数の多い教養・理・法の各学部では、「出願にあたって学部が求める書類・資料」の「語学資格」について、「□□点以上」などの明確な基準点はありません。一方で倍率の低い医学部・健康総合科学科では、医学科と同じ基準点が設定されており、高度な語学力が必要となっています。今後も各学部の出願要件などが見直されるかが、引き続き大きな注目点です。【図表⑰参照】

【図表17】推薦入試の志願者倍率(志願者数/募集人員)

前述の「記者発表」では、出願のあった高等学校数も公表されました。今回は全国の165校から出願があり、過去4回は151校→159校→155校→165校と推移しています。

都道府県単位でみると、前回までの3回の時点で47の全都道府県から出願がなされています。大学からは「推薦入試に対する認知度や取組みが徐々にではあるが広まっていると認識している。今後期待することは推薦入試の志願者が大きく増えることではなく、この入試にチャレンジするために中学・高校での学びを大切にする受験者が増えること」とのコメントがされています。