2019東大入試状況「最終合格者の合格最低点」

「2019東大入試状況」一覧
1. 出願状況 2. 第1段階選抜の合格最低点 3. 最終合格者の合格最低点 4. 現浪別割合 5. 男女別割合 6. 出身地別割合 7. 推薦入試の出願状況 8. 推薦入試の合格状況

センター試験と2次試験の総合点

センター試験と2次試験の総合点については、志願倍率や各年度のセンター試験と東大の2次試験の難易度に加えて、2次試験の「採点基準」も点数への影響が出ることをふまえながら、公表された点数をみてみましょう。

文科の近年の動向には「2013~2015年度の低下」と、「2016年度以降の横ばい」という2つの動きがみられます。2013年度からの3年間は低めの志願倍率や第1段階選抜の不実施などによって、連続で合格者最低点が低下しました。2次試験の「採点基準」の影響もありますが、この期間は総合点で50%台の最低点もみられました。しかし3年前の2016年度に各類の最低点が4年ぶりの上昇に転じ、以降は概ね横ばいの点数が続いています。2016年度からの4年間は、文科については最低点の「安定期間」といえます。

ただし今回の2019年度の特筆事項は、文二の合格者成績が文科の中で最も高かった(データ公表が始まった2001年度以降で初のケース)ということです。文科各類の序列は高い順に文一>文二>文三となるのが通例ですが、今回は最低点だけでなく、最高点・平均点も含めて文二が最高となりました。文一が低下したのに対して文二が上昇した要因として、文一から文二への流出(志望変更)が例年以上に多かったことが考えられます。文一志望者中の1浪生を中心とした受験生の多くが「安全志向」から合格可能性の高い文二に流出したことにより、文二の合格者成績を上げることにつながったようです。後の項目でも触れますが、文一の1浪生は合格率(占有率も)が低下している反面、文二で1浪生の合格率が上昇したことが裏付けとなっています。また今回は、募集人員(合格者数)の多少も一因といえそうです。文科の募集人員(合格者数)は少ない順に文二<文一<文三ですので、人数の最も少ない文二の合格者成績が最高となったことにつながったようです。これまでは「人数の多少」が相殺されていたと考えられますが、今回は例年以上に文一から文二への流出の影響が大きかったと思われます。【図表⑥⑦参照】

【図表6】2019年度合格者数等
【図表7】文科の合格最低点(総合550点中の得点率)の推移

理科は文科と異なり、点数の低下が3年以上続くなどの状況はみられません。2014年度からの4年間は合格者最低点の上昇が続き、特に2年前の2017年度は各類とも3~4%も最低点が上昇しました。2017年度の理科は各類ともに、最低点の公表が始まった2001年度以降で最も高い点数であったことが注目されました。ただし前回の2018年度は、一転して各類の最低点が3~5%も低下しており、2017・2018年度の2年間は大きく上下動していました。そして今回の2019年度については、理三のみが低下したのに対して、理一・理二はいずれも上昇と対照的な結果でした。前述の通り、文科で文一から文二への流出が多く、文二の合格者成績が上昇したのと同様で、理科の場合は理三から理一・理二へ、また理一から理二へという動きがあったようです。今回の2019年度入試では私立大も含めて受験生の「安全志向」が強く、実際の出願においても大学間ではレベルの高い大学から低い大学へ、また学部間でもレベルの高い学部から低い学部へという動きが目立ちます。東大においても文一と理三から他の科類への流出が多く、文二や理一などで合格者成績が上昇しました。

理科各類の序列については、この10年間も概ね理三>理一>理二となっています。一類と二類については、2012年度以降は概ね一類が2~3%高くなっていましたが、2018年度からの2年間でその差が徐々に縮まってきています。【図表⑥⑧参照】

【図表6】2019年度合格者数等
【図表8】理科の合格最低点(総合550点中の得点率)の推移