推薦入試の出願状況

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3回目となる2018年度の推薦入試

2016年度から、東大としては初めてとなる推薦入試が実施されています。募集の概要は以下の通りです。

(1)募集人員は医学部医学科を含む合計100人程度
(2)センター試験の基準は概ね8割以上(医学部医学科は900点中の780点程度)
(3)浪人生も出願可で、1校当たり男女各1名まで

3回目の実施となった2018年度の実施状況をみてみましょう。志願者数は全学部・学科の合計で179名となり、1年目と2年目の173名からは若干の増加となりました。2年目以降の募集要項においては「出願要件は『例示である』ことを明記」などの変更がされていますが、今回の志願倍率も1.79倍で、3回ともに2倍に満たない状況です。上記の通り、1校からの推薦人員が最大2名であることも少なからず影響しているようです。また、募集要項の表記上の変更はあったものの、受験生や高等学校の側からすると「出願要件のハードルは高い」という意識が強いとも考えられます。昨年の11月と今年の2月に実施された「記者発表」においては、大学から「志願者数を増やしたい。広報活動を続けていく」とのコメントがありました。【図表⑯参照】

【図表16】推薦入試学部別志願者数・合格者数

全体の志願倍率はいずれも2倍未満ですが、学部・学科により状況は大きく異なります。最も倍率が高かったのは3回とも教養学部です。さらに、理学部・法学部などの志願倍率が高い傾向にあります。一方で薬学部は今回初めて倍率が1倍を超えましたが、過去2回は予定の募集人員に満たない倍率でした。志願者数の多い・少ない(倍率の高い・低い)については、「語学資格の明確な基準の有無」も影響しているようです。志願者数の多い法・教養・理の各学部では、「出願にあたって学部が求める書類・資料」の「語学資格」について、「□□点以上」などの明確な基準点はありません。一方で倍率の低い薬学部では、医学部・医学科と同じ基準点が設定されており、高度な語学力が必要となっています。今後、各学部の出願要件などが見直されるかどうかが、引き続き大きな注目点です。【図表⑯⑰参照】

【図表16】推薦入試学部別志願者数・合格者数
【図表17】推薦入試の志願者倍率(志願者数/募集人員)

前述の「記者発表」では、出願のあった高等学校数も公表されました。今回は全国の155校から出願があり、過去3回は151校→159校(+8校)→155校(-4校)と推移しています。今回の155校の内、学校として初めて出願があったのは65校でした。なお、この3回の入試を通して、全国延べ321校から出願がありました。また、1年目と2年目の2回連続で出願があった高校は54校、1年目から3回連続で出願したのは33校でした。

都道府県単位でみると、過去3回の実施を通して47の全都道府県から出願がなされています。大学からは「推薦入試に対する認知度や取組みが徐々にではあるが広まっていると認識している。今後期待することは推薦入試の志願者が大きく増えることではなく、この入試にチャレンジするために中学・高校での学びを大切にする受験者が増えること」とのコメントがありました。