2023年度 国公立医学部医学科 出願状況

前期、後期ともに志願者増加 志願倍率もアップ
【前期】志願者数 15,960人(+873人) 志願倍率 4.5倍(+0.3)
【後期】志願者数 7,549人(+294人) 志願倍率 21.5倍(+1.5)

定員規模は現状維持、一般前期が全体の6割

医学部医学科の入学定員

2023年度の医学部医学科入試は国公私立合わせて9,384人、国公立は昨年度から合計14人減員された5,686人という入学定員のもとで実施されました。

医学部医学科の入学定員は国の政策によって2008年から継続的に増員されてきましたが、その中には一部期限付きのものが含まれており、国公立大学だけで見ると739人分が2019年度までの期限付きでした。ほとんどの大学では2020年度以降も定員規模を維持しているものの、募集枠・募集人員を減らす大学も一部出てきています。

国公立の入学定員5,686人の中から編入学や入学後の移行枠等を除き、入試方式別に募集人員をまとめたものが下のグラフです。

国公立医学部医学科 入試方式別募集人員(2023)

全体の約7割にあたる3,929人が一般選抜による募集となっています。なかでも前期の募集人員は6割を超えており、医学部合格を目指す受験生にとって最重要視すべき選抜方法であるといえるでしょう。

総合型・学校推薦型選抜が募集人員の4分の1を占める

一方で、総合型・学校推薦型選抜の募集人員が1,514人と、約4分の1以上を占めています。これは年々規模が縮小している後期の343人(地域枠を除く)を大幅に上回っています。今なお一般選抜が主流とはいえ、数少ない受験機会を逃さないためにも、一般選抜だけでなく総合型・学校推薦型選抜への挑戦も視野に入れるべき状況です。

日本では少子化が進んでおり、全体の医師の数は不足してはいないものの地域や診療科によっては足りないという「偏在」が課題になっています。2010年度以降、地域の医師確保等の観点からいくつかの取り組みがなされてきましたが、その一つが「地域枠」の設置です。地方・地域の医師不足解消を目的としたこの政策は、2023年度入試も継続され、「地域枠」としての募集人員は全体の2割以上を占めています。

総合型・学校推薦型選抜だけで見れば、地域枠の募集人員は一般枠の2倍近くにのぼり、特に地方の大学では地域にとどまってくれる優秀な生徒をいち早く確保したい事情がうかがえます。

今後の医学部全体の入学定員に関しては引き続き議論が重ねられると見られますが、一般枠としての募集は徐々に減っていき、地域枠や特定診療科枠といった卒業後の勤務地に指定があるような枠の募集が増えていく可能性が高いでしょう。

前期・後期ともに志願者増加、
後期は募集人員減により志願倍率21.5倍までアップ

国公立医学部医学科 志願者数・志願倍率〈前期〉

2023年度の前期の志願者数は15,960人でした。

文部科学省公表のデータによると、国公立全体(前期)の出願数は昨年度から2,546人減少していますが、医学部医学科においては873人増(+5.8%)で3年連続の志願者増となっています。18歳人口の減少に伴い受験生が全体的に減っている一方で、コロナ渦などで情勢が不安定な昨今、医学部人気が再び高まっているともいえるでしょう。

国公立医学部医学科 志願者数・志願倍率〈後期〉

後期の志願者数は7,549人で昨年度から294人(+4.1%)増加しました。2021年度から2年連続で増加したものの、センター試験時代の志願者数には届いていません。しかし、募集人員が減ったことで志願倍率は21.5倍までアップしました。

第1段階選抜は約9人に1人の不合格

国公立大学には、各大学の2次試験の出願者から実際に受験できる者を共通テストの成績等によって所定の人数内に限定する「2段階選抜」を実施する大学があります。医学部医学科においては、この「2段階選抜」の実施を全大学で予告しています。

今年の国公立大学医学部医学科(前期)における第1段階選抜不合格者数は1,788人で、昨年度の1,341人よりも大幅に増加しました(未公表の大阪大を除く)。
これは他学部も含めた第1段階選抜不合格者(前期)全体の約半数を占め、医学部医学科出願者の約9人に1人は前期日程の2次試験を受けられなかったことになります。

第1段階選抜実施を予告した前期の49大学のうち、不合格者が0人だったのは、

[国立]北海道、弘前、秋田、山形、筑波、福井、信州、三重、滋賀医科、神戸、岡山、広島、山口、香川、愛媛、佐賀、長崎、熊本、鹿児島

[公立]札幌医科、奈良県立医科

の計21校と、昨年度から3校減りました。一方、不合格者数上位5校は、福島県立医科(261人)、大分(198人)、浜松医科(195人)、島根 (184人)、東京 (129人)で、この5校だけで全体の半数以上を占める結果となりました。

第1段階選抜は共通テストの得点によって行われますが、ほとんどの大学では「志願倍率が○○倍を超えた場合に第1段階選抜を行う」という実施予告であるため、出願状況によって実施の有無や通過できるボーダーラインが変化します。

したがって、実施を予告している場合でも不合格者が出ない大学がある一方、前年度実施しなかった大学が実施することもあるため、志望校の入試情報はしっかりとチェックする必要があります。

受験科目を選ぶ際の注意点

国公立大学を第一志望とする医学部受験生は、共通テストで5教科7科目(東京医科歯科・後期のみ地歴公民を除く4教科6科目)を受験する必要があります。地歴公民は1科目の選択で済みますが、多くの受験生が負担の重い「世界史B」や「日本史B」を避け、「地理B」もしくは公民のなかから選択しようとするでしょう。

ただし、公民を選んだ場合、「現代社会」「倫理」「政治・経済」などの2単位科目では受験できる大学が半数以下に限定されてしまいます。公民で全大学に出願できるのは4単位科目の「倫理、政治・経済」のみです。

出願校を広く考えるのであれば、「世界史B」「日本史B」「地理B」「倫理、政治・経済」の中から選ぶのが安全といえそうです。

国公立医学部入試の科目選択について詳しく知りたい場合は、以下のページへ
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