「2023東大入試状況」一覧
東大の学校推薦型選抜の特徴
東大では2016年度入試から一般入試後期日程の募集人員100人を振り替える形で学校推薦型選抜がスタートしました。選抜の特徴としては以下の点が挙げられます。
- 募集枠は法、経済、文、教育、教養、工、理、農、薬、医の学部ごと、医学部はさらに医、健康総合科の学科ごと
- 学校長が推薦できる人数は4人まで、ただし男女は各3人まで
- 同一学部・学科への推薦は、男女各1人まで
- 合否判定は、提出書類・資料、面接等、および大学入学共通テストの成績を、募集単位ごとの基準で総合的に評価して行う
- 大学入学共通テストは、概ね8割以上の得点であることを目安とする
- 入学後、志望学部が指定する科類に分かれ、一般選抜の学生とともに教養学部に所属して前期課程(1、2年)の学習を行う
※今年度から既卒者が提出書類に卒業後の活動について記載可へと変更。
[2025年度入試~]
既卒者の出願は卒業後1年まで(1浪生まで)に変更。(現在は制限無し)
志願者はやや増加したが合格者数は変わらず、定員割れ学部・学科数は2016年度と並んで最多
2023年度入試も引き続きコロナ禍の中での実施となりましたが、一昨年度・昨年度と同様に推薦要件は柔軟に判断し、出願手続きをオンラインで対応、面接等試験は対面形式で実施されました。
今年度の志願者数は253人と昨年度からやや増加し、過去最多の一昨年度(267人)に次ぐ数となりました。一昨年度に1校の推薦可能人数が2人から4人に増えてから、志願者は200人を超える結果が続いています。
学部・学科別にみると、法学部・経済学部が数を減らす一方で、工学部・理学部・農学部などが増加しました。特に理学部は対前年指数で171.4と大きく数を増やしています。また工学部は、2018年度以降増加傾向が続いています。
第1次選考合格者は180人と増加しましたが、最終合格者は88人で昨年度と同数でした。志願者増加に伴い合格率(最終合格者/志願者)はやや低下し、過去最低値だった2021年度(34.5%)に次いで低い34.8%となっています。
今年度は11学部・学科のうち2学部・学科しか募集人員を満たす合格者を出しておらず、導入年度である2016年度と並んで最も少ない数となりました。工学部が初めて募集人員を満たしたものの、昨年度は募集人員を満たしていた教育学部、教養学部、理学部も定員割れしています。合格者が募集人員に満たなかった学部・学科は、各学部が対応する科類の一般選抜募集人員に繰り入れられます。
関東以外の志願者割合は5年連続低下、一方で東京の志願者・合格者割合は過去最高
志願者・合格者数を出身校所在地別に見てみると、一般選抜では例年関東以外が40%前後であるのに対し学校推薦型選抜は50%を超えており、多様な地域から受験に臨んでいることがうかがえます。
しかし、関東以外の志願者割合はほぼ6割であった2018年度から5年連続で低下となりました。コロナ禍により移動を避ける志向が影響していることも考えられます。一方で、東京の志願者割合は昨年度から上昇し、27.7%と過去最高となっています。
合格者割合でも関東以外は過去最低だった昨年度(52.3%)からはやや上昇したものの、次いで低い53.4%でした。一方で東京の合格者割合は昨年度から上昇、30.7%と初めて30%を超え、過去最高値を記録しています。
合格率をみると東京が38.6%と最も高く東京優位の様相が続いていますが、昨年度から東京が低下、関東以外が上昇した結果、その差は小さくなっています。また、東京を除く関東の合格率も低下しており、今年度の27.5%は2018年度に次いで低い結果でした。
志願者の女子割合は昨年度より上昇したものの女子合格率は過去最低
志願者の女子割合は最も高かった2019年度からやや低下傾向でしたが、今年度は上昇に転じました。一般選抜の女子割合が20%程度であることと比べると、高い割合を維持しています。
一方、合格者の女子割合は2018年度以降40%を超える結果が続いていましたが、今年度は39.8%と40%を下回りました。2021年度まで上昇を続けていた状況から一転して2年連続の低下です。
3年連続で男子を上回っていた女子の合格率も、2019年度以来男子を下回り、過去最も低い31.5%となりました。昨年度も男女差が一昨年度より小さくなっていましたが、今年度は特に女子受験生の苦戦がうかがえる結果でした。