推薦入試状況

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東大としては初めてとなる推薦入試

2016年度から、東大としては初めてとなる推薦入試が実施されています。募集の概要は、以下の通りです。

(1)募集人員は医学部医学科を含む合計100人程度
(2)センター試験の基準は概ね8割以上(医学部医学科は900点中の780点程度)
(3)浪人生も出願可で、1校当たり男女各1名まで

1年目(2016年度)と2年目(2017年度)の実施状況をみてみましょう。志願者数は全学部・学科の合計で両年度とも同数の173名、志願倍率は1.7倍と2倍に満たない状況が続いています。1年目の志願者数の状況から、「出願要件の記載項目が『必須条件』と解釈された(大学のコメントより)」との判断により、2年目となる2017年度の募集要項においては「出願要件は『例示である』ことを明記」などの変更がありました。

このような経緯はあったものの、2年目の志願者数は1年目とまったく同数の173名にとどまりました。上記の通り、1校からの推薦人員が最大2名であることも少なからず影響しているようです。また、募集要項の表記上の変更はあったものの、受験生や高等学校の側からすると「出願要件のハードルは高い」という意識が強いと考えられます。

2月8日の合格発表日に実施された「記者発表」においては、「高等学校との連携をさらに高めること、また募集要項の文言のさらなる見直しや不要な文言の削除などに努め、志願者数の増加を図りたい」との大学からのコメントがありました。【図表⑭参照】

【図表14】推薦入試の状況

全体の志願倍率は両年度とも1.7倍ですが、学部・学科により状況は大きく異なります。最も倍率が高かったのは2年とも教養学部です。さらに、理学部、医学部・医学科、法学部の志願倍率が高い傾向にあります。一方で薬学部は、2年とも予定の募集人員に満たない倍率が続いています。

志願者数の多い・少ない(倍率の高い・低い)については、「語学資格の明確な基準の有無」も影響しているようです。志願者数の多い法・教養・工・理の各学部では、「出願にあたって学部が求める書類・資料」の「語学資格」について、「□□点以上」などの明確な基準点はありません。一方で志願者数が2年とも募集人員に満たなかった薬学部では、医学部・医学科と同じ基準点が設定されており、高度な語学力が必要となっています。今後については、このような出願要件などが見直されるかどうかが大きな注目点といえます。【図表⑮参照】

【図表】推薦入試の志願倍率(志願者数/募集人員)

前述の「記者発表」では、出願のあった高等学校数も公表されました。1年目の151校に対し、2年目は159校で8校の増加となりました。この159校の約2/3にあたる105校は前回は出願がなく、今回新たに出願のあった高等学校です。裏を返せば、前回出願のあった学校の2/3からは今回は出願がなかったことになります。この点について大学からは、「出願・推薦できる生徒が同一校から毎年は出ないだろうと認識している。候補がいる年には是非推薦して頂きたい」とのコメントがありました。