「2024京大入試状況」一覧
志願者の現役割合上昇は一旦歯止め、今年はやや現役生が苦戦
2024年度一般選抜の現役志願者は、昨年度から164人増加し5,264人となりました。過去10年では最多の志願者数です。また、浪人等志願者も、昨年度は後期日程が廃止された2009年度以降で最少でしたが、今年度は+219人と現役生以上に増加しました。これに伴い志願者の現役割合は68.8% → 67.5%とやや低下し、4年続いた上昇に一旦歯止めがかかった形です。
今年度は新課程変更前最後の入試でしたが、共通テスト易化の影響もあってか浪人生等含めて強気の出願がうかがえるような傾向でした。
現役入学者は1,772人と過去10年で最多だった昨年度から減少した一方、浪人等入学者は924人と過去最少だった昨年度から増加しました。入学者の現役割合も68.2% → 65.7%に低下しています。
現浪別の合格率(入学者数÷志願者数 ※現浪別の合格者数は非公表)をみると、全体の志願者が増加したことで現役生・浪人生等どちらも低下しましたが、現役生の低下幅が大きく、昨年度1%以内となった現浪差が拡大しました。2021年度以前と比較すると小さい差ではありますが、過去2年よりは現役生が苦戦したことがうかがえます。
文学部は入学者の現役割合が過去最高となる一方、薬学部の合格率は浪人生が優位に
学部・学科別の現役割合をみると、志願者では経済学部と薬学部が7割を超えました。この2学部は3年連続で7割を超えています。経済学部は昨年度からさらに上昇し、後期日程廃止以降での過去最高を更新しました。
入学者では7割を超えたのは教育学部のみです。志願者では7割を超えた経済学部・薬学部は、昨年・一昨年度と入学者も2年連続で7割を超えていましたが、今年度はわずかながら7割を下回っています。
また、文学部は入学者の現役割合が後期日程廃止以降で最も高くなりました。近年、他学部・学科と比べると現役割合が低い状態でしたが、今年度は比較的高くなっています。一方、昨年度は入学者の現役割合が81.5%にまで達した医学部医学科は、概ね例年並みの水準にまで低下しました。
過去5年の推移を見ると、文系学部で現役割合の上昇傾向がみられるのが経済学部です。志願者の現役割合は2020年度から+10.7%と上昇し、2022年度以降は3年連続で最も高くなっています。入学者の現役割合も今年度は低下しましたが、2020年度と比べると+10.1%と上昇しています。
一方、低下が目立ったのが総合人間学部です。2020~2023年度までは志願者・入学者ともに上昇基調でしたが、今年度はどちらも文系学部では最も低くなりました。
理系学部では志願者の現役割合が上昇したのは薬学部のみで、全体的に昨年度より浪人生等が集まったことがうかがえます。医学部人間健康科学科は2020年度と比べると-5.2%と低下し、6割を下回っています。また、農学部は2020・2022年度では7割を超えていましたが、今年度は64.1%で2019年度以前と同等の水準になりました。
入学者の現役割合は、志願者では唯一上昇した薬学部などが低下した一方、理学部・医学部人間健康科学科が上昇しています。薬学部は2020~2023年度まで常に7割を超えており、2021年度には9割近くまで上昇したこともありましたが、今年度は7割を下回りました。かたや、医学部人間健康科学科は志願者と対照的に過去5年では最も高くなっています。また、農学部は6割を下回り、志願者と同様に2019年度以前と同等の水準になりました。
各学部・学科の現浪別合格率をみると、文学部は10年ぶりに、医学部人間健康科学科は7年ぶりに現役生が浪人生等の合格率を上回りました。一方で、薬学部は7年ぶりに浪人生等が現役生の合格率を上回っており、学部・学科で状況が異なる形です。
また、医学部医学科は例年現役生の合格率が浪人生等を上回っています。昨年度は特に顕著でしたが、現役生に力のある志願者が多いことがうかがえます。逆に、農学部は浪人生等の合格率が現役生を上回っています。昨年度は合格率差が1%未満になりましたが今年度は再び差が開き、合格を勝ち取る力がある受験生は相対的に浪人生に多いと考えられる状況です。