「2024京大入試状況」一覧
最終合格者最低点は大きく低下、10%以上低下した学部も
2024年度入試の最終合格者の最低点は、全学部・学科で昨年度から低下しました。昨年度は複数学部・学科で2005年度以降最も高い点数でしたが、今年度は大きく低下し比較的低い水準となりました。昨年度より共通テストが易化した中での低下で、特に難化とみられる数学を中心に2次試験が得点しづらかったのではないかと考えられます。
学部間で配点等が異なることを度外視して単純比較すると、文系学部の内、合格者の最低得点率が最も高かったのは文学部、平均得点率が最も高かったのは経済学部です。
文学部の最低得点率は2005年度以降で2007・2012年度に次いで低い結果でしたが、昨年度からの低下幅は文系学部の中で最も小さく、共通テストの配点が比較的高いことが一因と考えられます。経済学部の平均得点率は2021~2023年度まで3年連続で70%を超えていましたが、今年度は60%台となり2005年度以降で過去4番目に低い結果でした。
また法学部は、近年志願者の減少が続いていた状態から増加に転じましたが、得点率に大きな変化はみられませんでした。
理系学部で合格者の最低得点率が最も高かったのは医学部医学科、最も低かったのは医学部人間健康科学科で、この組み合わせは例年固定されています。
低下が目立ったのは理学部・薬学部です。最低得点率では理学部が66.3% → 54.8%、薬学部が66.0% → 53.9%、平均得点率では理学部が72.3% → 61.5%、薬学部が72.2% → 59.2%と10%以上の低下となりました。一方、低下幅が比較的小さかったのが農学部です。文学部と同様に、理系学部の中では共通テストの配点が最も高いことが一因であると考えられます。
また、医学部人間健康科学科と薬学部は、現在の一括募集以降で最も低い合格最低得点率(医学部人間健康科学科)と合格平均得点率(薬学部)を記録しています。さらに、医学部医学科も、今年度の合格最低得点率は2005年度以降で過去5番目に低くなりました。
工学部は学科別に募集を行っていますが、合格者の得点率に差が生じる傾向がみられます。近年最も高い得点率となるのは情報学科です。今年度は情報学科に次いで高い物理工学科との差が大きくなり、情報学科での合格が例年以上に難しかったといえるような状況でした。
一方、理工化学科は工学部で最も低い状態が続いています。志願倍率(情報学科4.1倍、理工化学科1.6倍)に比例した結果が表れているといえます。ただ、今年度は工業化学科 → 理工化学科に名称変更した影響もあってか減少していた志願者が増加に転じ、合格最低点も2番目に低い地球工学科との差が小さくなりました。
共通テストと2次試験の目標を設定する
京都大学は学部・学科によって入試に必要な科目数や配点が異なるものの、総じて2次重視の配点比率です。2025年度入試から共通テストに情報が加わることに伴い従来の配点からやや変更されましたが、2次重視であることは変わっていません。しかし、まずは共通テストでしっかり得点できるかどうかが、最終的な合否に大きく影響してきます。
共通テストの配点比率が比較的高い文学部であれば、共通テスト90%の場合と80%の場合を比較すると、その差は25点、2次試験の数学大問1問分(20点)以上の得点差が生じることになります。極端な例ではありますが、共通テストを軽視せず、確実に得点することが有利であるということです。
京大合格を目指すのであれば、学部・学科によって目標ラインは多少異なってきますが、共通テストについては85%以上の得点を目安にしておくと良いでしょう。
2024年度合格者最低点をもとに、合格に必要な2次得点を算出した場合、仮に共通テストで85%得点できたとすると、文系学部は概ね50%前後で学部間差は大きくありません。
理系学部では医学部医学科(63.2%)が最も高く、次いで高いのが工学部情報学科(56.8%)、その一方で最も低いのが医学部人間健康科学科(35.9%)で、文系学部に比べると学部・学科間の差が大きくなっています。
各年度の問題の難易度や志願者数などによって合格に必要な得点は上下しますが、共通テスト・2次試験それぞれで目標とすべき得点を頭に入れておくようにしましょう。