「2023京大入試状況」一覧
現役志願者が増加、志願者の現役割合も過去最高を更新。現浪の合格率差はわずかに縮小
2023年度一般選抜の現役志願者の合計は、昨年度から214人増加し、5,100人となりました。現役生の志願者が5,000人を超えるのは2018年度以来です。一方、浪人等志願者は、後期日程が廃止された2009年度以降での最低値をさらに更新する2,317人でした。これに伴い、志願者の現役割合は68.8%となり、過去最高を更新、4年連続の上昇となりました。
今年は共通テストの平均点が上昇したことで、志望を下げることなく京大出願に踏み切った層がいたかもしれません。特に現役生の場合、共通テストで大きく出遅れなければ、2次試験までの1ヶ月間で最後の勝負、と考えるケースが一定数あると思われます。同じ近畿地区内の大阪大・神戸大の志願者が昨年から減少しており、これも京大出願を選択した層がいたと考えられる要因の一つです。
一方で、2年後には新課程入試への変更も控えている状況であるため、安全志向で合格を決めようという傾向があったのではないか、とみることもできます。東大の志願者が昨年より減少していますが、東大から京大に出願変更した層もいたかもしれません。
こうした点から京都大学の志願者が増加、特に現役生の増加が目立ったとも考えられます。浪人生等も、減少したとはいえ共通テストの浪人出願者の減少に比べると減少幅は小さいので、他の難関大と比べると、京都大学にやや志願者が集まる傾向がうかがえる結果でした。
現役入学者は1,843人で過去10年では最多だった一方で、浪人等入学者は過去最少の858人でした。入学者の現役割合も4年連続の上昇で68.2%となり、こちらも過去最高を更新、一般選抜入学者の3分の2以上が現役生ということになります。
現浪別の合格率(入学者数÷志願者数 ※現浪別の合格者数は非公表)をみると、今年度は志願者が増加した分、現役生・浪人生等どちらもやや低下しましたが、昨年よりもわずかに現浪差が縮まりました。
昨年、現役生の合格率が上昇、浪人生等の合格率が低下したことで、それまでの浪人生等がやや優位であった状況から変化がみられましたが、今年もその形が続く結果となりました。
医学部医学科入学者の現役割合は8割超。一方、理学部は再び浪人生優位に
学部・学科別の現役割合では、志願者で7割を超えたのが経済学部・理学部・薬学部、入学者で7割を超えたのが経済学部・医学部医学科・薬学部です。経済学部・薬学部は、昨年に引き続き志願者・入学者ともに7割を超えました。
理学部は、2009年度以降で初めて志願者の現役割合が7割を上回った一方で、昨年初めて7割を上回った入学者の現役割合は67.5%に低下しました。
医学部医学科は、入学者の現役割合が初めて8割を超えて過去最高となり、全学部・学科で最も高いという結果でした。昨年から+11.8%と上昇幅も最も大きく、例年以上に力のある現役生が集まった、あるいは浪人生等が出願を避けたと考えられます。
一方、文学部・教育学部・医学部人間健康科学科は、志願者・入学者の現役割合がともに60~65%程度で、他学部・学科と比べるとやや低くなっています。
過去5年の推移を見ると、文系学部で特に入学者の現役割合が上昇しているのが経済学部です。2019年度から今年にかけて+15.5%と増加、今年は文系学部で最も現役割合が高くなりました。
法学部も志願者・入学者ともに昨年から現役割合が大きく上昇し、2019年度から志願者で+11.1%、入学者で+10.7%となっています。
また、文学部は2017年度以降、入学者の現役割合が6割を下回る形の低調な推移でしたが、今年度は64.0%にまで上昇しました。ただ、それでも他の文系学部と比べて低めの水準です。
理系学部では、前述のように医学部医学科の入学者の現役割合上昇が目立ちますが、これまではっきりした上昇傾向まではみられず、今年一気に上昇した形です。
同じように、2021年度に入学者の現役割合が87.3%にまで上昇した薬学部は、この2年は減少が続く結果でした。
一方、医学部人間健康科学科は、他学部・学科と比べて、志願者・入学者ともに現役割合が低い状態が続いています。
各学部・学科の現浪別合格率をみると、文学部や法学部は昨年よりも現浪差が縮小し、医学部医学科は浪人生等の合格率が大きく低下しました。一方で、理学部は浪人生等の合格率が現役生を上回り、一昨年度以前の浪人生優位の状態に戻るなど、学部・学科で昨年からの状況の変化が異なるような形です。
また、医学部医学科は例年、現役生の合格率が浪人生等を上回っており、現役生に力のある志願者が多いことがうかがえますが、前述の通り今年は特にそれが顕著だったといえます。
逆に、農学部は例年、浪人生等の合格率が現役生を上回っており、合格を勝ち取る力がある受験生は相対的に浪人生に多いと考えられる状況でしたが、今年はその差が1%未満とほとんど現浪差がない状態となりました。
来年度は新課程入試前最後の年となるため、安全志向が強まる可能性がありますが、ここまで見てきたような傾向が続くか注目です。