「2023京大入試状況」一覧
最終合格者最低点は全学部で上昇、データ公表以降で最高値となる学部も
2023年度入試の最終合格者の最低点は、全学部・学科で昨年度から上昇しました。共通テストの数学が易化したことで、受験生の共通テストの得点が昨年度から上昇した影響もあったかもしれません。
また、昨年度、共通テストの難化にも関わらず最終合格者の点数は上昇しましたが、今年度も下がることはなかったところを見ると、2次試験も昨年度と同程度には得点しやすかったのでないかとも考えられます。
学部間で配点等が異なることを度外視して単純比較すると、文系学部の内、合格者の最低得点率が最も高かったのは文学部、平均得点率が最も高かったのは経済学部です。経済学部は、昨年は文系学部の中で教育学部に次いで低い得点率となっていましたが、再び一昨年度と同様に最も高くなりました。どちらも、データが公表されている2005年度以降では、2011年度に次いで2番目に高い得点率となっています。
また、昨年度と同様に、教育学部がわずかに下回っているものの、その他の学部の合格者平均得点率は70%を超えるなど、高得点の勝負になっています。法学部や文学部は、近年志願者の減少が続いていますが、得点率に大きな変化はみられず、合格圏内に入る受験生のレベルはあまり変わっていないとみられます。
理系学部では、合格者の最低得点率が最も高かったのは医学部医学科、最も低かったのは医学部人間健康科学科で、この組み合わせは例年固定となっています。
また、理学部・医学部医学科・薬学部・工学部情報学科・農学部は、2005年度以降で最低得点率が最も高いという結果となりました。さらに、合格者の平均得点率では、医学部医学科が2005年度以降で初めて80%を超えるなど、こちらも高得点勝負だったことがうかがえます。
合格者の得点率の上昇が目立ったのは理学部です。合格者の最低得点率は59.3%→66.3%、平均得点率は65.7%→72.3%と、どちらも約7%上昇しました。昨年、2005年度以降で最少の志願者だったところから、今年志願者が大きく増加した影響も考えられます。
工学部は学科別に募集を行っていますが、合格者の得点率に差が出る傾向にあります。近年最も高い得点率であるのは情報学科で、今年の合格者の最低得点率は69.8%とほぼ7割という結果でした。
一方、工業化学科は、今年の最低得点率は61.3%と6割を超えたものの、工学部で最も低い結果が続いています。志願倍率通り(情報学科4.6倍、工業化学科1.3倍)の結果が表れているといえるでしょう。
昨年から最も大きく上昇したのは建築学科で、合格者の最低得点率は物理工学科とほぼ同じという結果になりました。
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共通テストと2次試験の目標を設定する
京都大学は学部・学科によって入試に必要な科目数や配点が異なるものの、2次重視の配点比率に変わりはありません。しかし、まずは共通テストでしっかり得点できるかどうかが、最終的な合否に大きく影響してきます。
文系学部の中で共通テストの配点比率が最も高い文学部であれば、共通テスト90%の場合と80%の場合を比較すると、その差は25点、2次試験の数学大問1問分(20点)以上の得点差が生じることになります。極端な例ではありますが、共通テストを軽視せず、確実に得点することが有利であるということです。
京大合格を目指すのであれば、学部・学科によって目標ラインは多少異なってきますが、共通テストについては85%以上の得点を目安にしておくと良いでしょう。
2023年度合格者最低点をもとに、合格に必要な2次得点を算出した場合、仮に共通テストで85%得点できたとすると、文系学部は概ね60%前後で、学部間差は大きくありません。
一方、理系学部では、医学部医学科(72.4%)が最も高く、次いで工学部情報学科(66.0%)が高くなっている一方、最も低いのが医学部人間健康科学科(46.7%)で、文系学部に比べると学部・学科間の差が大きくなっています。
各年度の問題の難易度や志願者数などによって合格に必要な得点は上下しますが、共通テスト・2次試験それぞれで目標とすべき得点を頭に入れておくようにしましょう。