Y-SAPIXでは東京大学総長の藤井輝夫先生に特別インタビューを行いました。Y-SAPIX公式noteで、その貴重なインタビューの内容を公開しています。東大総長から中高生に向けたメッセージをぜひご一読ください!
「2024東大入試状況」一覧
文一・文二は第1段階選抜不実施、理一は過去10年では最多の不合格者
今年度は文一・文二が第1段階選抜予告倍率に満たない志願者数にとどまり、第1段階選抜が実施されませんでした。一方、昨年度実施しなかった文三は志願者が集まった結果、114人の不合格者が出ました。
理科は全科類で第1段階選抜が実施され、特に志願者が増加した理一は第1段階選抜での不合格者も増え、過去10年では最も多い308人が不合格となりました。昨年度は過去20年で最多の志願者数だった理二も、微減にとどまったことで355人が不合格となっており、ここ3年は300人以上の不合格者を出しています。
2001年度以降でみると文一・文二はともに3回目の第1段階選抜不実施で、2科類が不実施となるのは2016年度以来です。これにより文科は3科類とも不実施の回数が3回となったのに対して、理科は2016年度の理二を除いてすべて実施されています。
今後受験人口の減少に伴い志願者が減少し、現在の予告倍率が維持されるとすれば、第1段階選抜が実施されないケースが増加することになります。特に文科は近年志願者の減少傾向がやや目立つため、今後実施されないケースが頻発するかもしれません。
とはいえ、東大は例年比較的安定した数の志願者が集まっています。科類ごとの志願者の多寡は生じるものの、全体としては第1段階選抜が行われるのが「珍しくはない」状態が続くと考えられます。
共通テスト平均点の上昇に伴い合格者平均点も上昇、理一の合格者最低点は2021年度以前の水準にまで回復
第1段階選抜合格者の平均点は、理科3科類では理一・理三が上昇、理二がやや低下となりました。昨年から共通テストの平均点がやや上向いたことに伴って上昇したとみられます。理二は志願者微減でやや低下したものの、ここ2年は比較的高い水準となっています。文科はいずれの科類も昨年度もしくは今年度に第1段階選抜を実施していないので単純比較はできませんが、昨年度並の水準を維持したとみられます。
第1段階選抜合格者の最低点をみると、文科では唯一選抜を実施した文三の得点率は69.2%で、2021年度や2022年度と大きな差は無い結果でした。今年度は不実施だった文一・文二を含め、センター試験最終年の2020年度以降、文科の最低点は7割を超えることはない状態が続いています。
合格者最低点の序列としては、2019年度まで「定番」だった文三>文二>文一から2020年度以降様相が崩れ始め、第1段階選抜が実施されないケースが増加するなど不安定な状況です。今後も序列が定まらない状況が続くことが十分考えられます。
理科では理一の最低点が大きく上昇しました。昨年度は理二に志願者が流入したとみられる影響で2001年度以降最も低い点数でしたが、今年度は2021年度以前の水準に戻りました。一方理二も、昨年度から低下したとはいえ75%を超えており、一定のレベルを維持しています。また理三は、面接が復活する前の2017年度以前と同等のラインにまで上昇しています。
最低点の序列には、はっきりとした規則性はみられません。2018~2022年度は理三が最も低い状態が続いていましたが、今年度は理二が最も低くなり、理一>理三>理二という序列でした。特に理一と理二は、共通テストの難易度や前年の第1段階選抜・最終合格最低点などの影響で相互に流出入が起きやすく、今後も年度によって序列が変化すると思われます。