一般選抜 現浪別状況

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2021年度 現浪別入試状況

2021年度の志願者を現浪別に見てみると、全科類合計では現役生:浪人生等が2:1とおよそ3分の2を現役生が占めています。文科の現役占有率は科類ごとのばらつきが小さいですが、理科は科類によって差があり、理一と理三では30ポイント以上の大差となっています。

合格者の現役占有率を見てみると、全科類合計では志願者の現役占有率を上回っており、現役生の合格率(合格者数/志願者数)が浪人生等よりも高いことがわかります。科類ごとにみると文三のみ志願者の占有率を下回っていて、その他の科類はすべて上回っています。特に文二は、昨年度から合格者の現役占有率が10ポイント以上高くなり、志願者の占有率を大きく上回りました。

全科類合計の合格率を現役生と1浪生で比較してみると、1浪生が現役生を上回っています。1浪生が現役生を上回るのは例年のことですが、その差は近年縮小傾向がみられ、2016年度は9.4ポイントの差がありましたが、5年連続で縮小、2021年度は2.6ポイント差となりました。科類ごとでは、理三以外はすべて1浪生が上回るケースが通例ですが、今年度は理三に加え、文一、文二でも現役生が1浪生を上回っています。

【資料1】2021年度 一般選抜 現浪別入試状況​​

文理別入試状況推移

過去10年の合格者における現役占有率を見てみると、文科は2015年度以降今年度まで7年連続で、理科は2016年度を除く全年度で志願者の現役占有率を上回っています。ちなみに科類ごとにみると、文三のみ過去10年すべてで志願者の現役占有率を下回っており、文一、理三は逆にすべてで志願者の占有率を上回っています。文三では現役生は苦戦、文一、理三は現役生優位の入試状況といえそうです。

合格率については、受験人口減少に伴い東大志願者も減少傾向であるため、全体として上昇傾向にあります。その中でも現役生の合格率については、文科・理科ともに年度によるアップダウンはあるものの、この10年間でみると大きく上昇しています。一方、浪人生のうち多数を占める1浪生の合格率には大幅な上昇は見られないことから、依然として全科類合計の合格率では1浪生が現役生を上回っているものの、相対的に現役生優位の様相になりつつあることがうかがえます。

【資料2】一般選抜 現役占有率・合格率推移​​
【資料3】一般選抜 現役・一浪合格率推移​​

科類別入試状況推移

科類ごとに志願者の現役占有率の推移を見てみると、文科はおおむね文二>文三>文一という序列になっていますが、直近の二年間は文一の占有率の上昇が目立ちます。理科は過去10年、理一>理二>理三で安定していますが、2021年度は理一の占有率の上昇が顕著でした。

【資料4】一般選抜 現役占有率推移[志願者]​

合格者の現役占有率では、文科はおおよそ文一>文二>文三と、志願者の現役占有率とは異なった序列を見せています。すなわち、現役生の文一志願者は文二、文三と比べて浪人生よりも合格率が高いということであり、相対的に少数精鋭であると考えられます。一方、理科の序列はおおむね理三>理一>理二であり、特に理三は志願者と合格者の現役占有率の差が大きく、現役生の理三志願者が少数精鋭であろうことがうかがえます。文科・理科ともに、難易度の高いといわれる科類では、現役志願者が比較的少数だが力がある、といえそうです。

【資料5】一般選抜 現役占有率推移[合格者]​

現役生の合格率を科類別に見てみると、文科では第1段階選抜が実施されなかった科類が高くなっています。第1段階選抜が実施されなかったということは、その科類の志願者がそもそも少なかったということなので必然的に合格率は高くなりますが、文一の2013、2016年度、文二の今年度に関しては1浪生の合格率は高くありません。その3回に関しては、力のある1浪生の志願者が少なかった、ということになりそうです。

第1段階選抜不実施の主な要因は、該当科類の前年度合格最低点が相対的に高いために受験生が敬遠することとみられます。それを加味すると、前述の3回においては、合格する力はあるが後がないために安全志向をとろうとした1浪生に、敬遠する傾向が特に顕著にみられたものと考えられます。

理科の現役合格率については、特に理三の上昇が顕著です。前述の少数精鋭の様相がはっきり表れているといえるでしょう。また、理二は2016年度に第1段階選抜が実施されませんでしたが、1浪生の合格率が他年度に比べて突出して高くなりました。一方、現役生の合格率は特に高くありません。つまり、合格する力がある1浪生が理二に集まったとみることができます。これは、2016年度が後期日程が廃止となって前期日程のみとなった年度でもあるため、比較的難易度が低いとみられる理二に安全策を取って流入したことが要因の一つであると考えられます。

【資料6】一般選抜 現役合格率推移​