共通テスト科目別出題分析 一覧
見えてきた「共テ」らしさ
①複数テクストあるいは会話文問題
②発展学習ノート型問題
③本文に基づく読解と解釈へのいざない
出題の特色
- 2021年度に引き続き、複数テクスト問題が出題
- 2021年度同様、「生徒がノートを取って発展学習に取り組む」体裁の「ノート型問題」が出題
- 第3問古文だけではなく第2問小説でも、根拠に基づいた読解・解釈・鑑賞を求める
設問概要・講評
- 全体
- 複数テクスト問題、本文を読んだ生徒がノートやメモを作成して発展学習をするという形式の問題、本文の表現や資料、文法・語句の意味などの根拠に基づいて読解・解釈・鑑賞させる問題が、共テの特徴として挙げられそうです。今後はこの3点が洗練されてゆくと考えられ、試行調査で出題された実用文が出題されるとすれば、この3点に関連してであると考えられます。
- 第1問
- 檜垣立哉『食べることの哲学』および藤原辰史『食べるとはどういうことか』から出題されました。問1では漢字の書き取りおよび意味が出題され、問2~問5の内容説明問題は解きにくい選択肢が並びます。問6は共通テストから出題されるようになった、生徒が本文を要約して発展学習を進める体裁のノート型問題でした。
- 第2問
- 1991年発表の黒井千次「庭の男」からの出題でした。例年出題の語句の意味を問う問題が扱われなかった一方、問1~問4に心情説明問題が並ぶことから、小説文における心情理解はセンター試験時代から変わらず重視されているといえます。問5は複数資料を基に生徒が発展学習を進める体裁のノート型問題であり、2021年度に第3問で出題された「本文に基づいた鑑賞」と同質の問題でした。
- 第3問
- 歴史物語『増鏡』と日記文学『とはずがたり』から出題され、両者の関係がリード文に示されます。問1はセンター試験踏襲の語句問題、問2は共通テストになって登場した、文法や語句と心情理解の組み合わせ選択肢の問題です。問3は心情説明問題、問4は「話し合い」という形式に目を向けるのではなく、問2と同じく「本文に基づいた解釈」が求められていることに気づきたいものです。
- 第4問
- 清代の政治家・阮元による漢詩とその序文が複数テクスト問題として出題され、3年連続漢詩が扱われました。問1漢字の意味、問2返り点の付け方と書き下し文との組み合わせ、問3解釈は例年通り。難易度としては問3語句、問4漢詩の知識および問5「奈何」、いずれも基本です。問6・問7も容易な問題でした。
配点・出題内容・難易度
大問 | 配点計 | 小問 | 配点 | 出題内容 | 難易度 |
---|---|---|---|---|---|
第1問 | 50 | 問1 | 10 | 漢字の知識を問う問題 | 標準 |
問2 | 7 | 傍線部内容説明問題 | やや難 | ||
問3 | 7 | 傍線部内容説明問題 | やや難 | ||
問4 | 7 | 傍線部内容説明問題 | 標準 | ||
問5 | 7 | 表現を問う問題 | やや難 | ||
問6 | 12 | 生徒作成の「メモ」を用いた空欄補充問題 | やや難 | ||
第2問 | 50 | 問1 | 8 | 心情説明問題 | 標準 |
問2 | 8 | 心情説明問題 | やや易 | ||
問3 | 8 | 心情説明問題 | 標準 | ||
問4 | 12 | 表現を問う問題 | やや難 | ||
問5 | 14 | 複数の資料による本文理解問題 | やや難 | ||
第3問 | 50 | 問1 | 15 | 傍線部解釈問題 | やや易 |
問2 | 7 | 語句や表現に関する説明問題 | やや易 | ||
問3 | 7 | 心情把握問題 | 標準 | ||
問4 | 21 | 対話による表現鑑賞問題 | やや難 | ||
第4問 | 50 | 問1 | 12 | 漢字の意味問題 | 標準 |
問2 | 7 | 返り点と書き下し文の問題 | 標準 | ||
問3 | 7 | 傍線部解釈問題 | 標準 | ||
問4 | 5 | 漢詩の空欄補充と説明の問題 | 標準 | ||
問5 | 5 | 傍線部の読み方の問題 | 標準 | ||
問6 | 6 | 出来事の順序を問う問題 | やや難 | ||
問7 | 8 | 心情説明問題 | 標準 |
※難易度は絶対評価
平均点の推移
年度 | 平均点 |
---|---|
2022 | 110.26 |
2021 | 117.51 |
2020 | 119.32 |
2019 | 121.54 |
2018 | 104.68 |
2017 | 106.96 |
2016 | 129.38 |
2015 | 119.22 |
2014 | 98.66 |
2013 | 101.04 |