2024年度 大学入学共通テスト平均点(最終)・受験状況

一部の科目で難化がみられるが、新課程前最後は比較的落ち着いた結果に

2024年2月5日、大学入試センターから2024年度大学入学共通テスト実施結果の概要が公表され、確定した共通テストの平均点が公開となりました。

2024年度大学入学共通テスト平均点①
今年は理科の得点調整も実施されず、平均点が極めて高いもしくは低いという科目はほぼ見られませんでした。昨年、調整前の平均点は40点を下回り過去最低を記録した生物も、54.82点と一定の水準にまで回復しています。理科の科目間得点差は10点未満で、科目間の難易差もある程度適正と考えられる結果でした。

また、一昨年に極めて低い平均点を記録したものの昨年大きく回復した数学Ⅰ・A/Ⅱ・Bも、今年はⅠ・Aが-4.27点、Ⅱ・Bが-3.74点と、やや低下で落ち着きました。センター試験を含めて数学Ⅰ・Aは比較的低い数値ですが数学Ⅱ・Bは比較的高く、数学合計ではやや低い水準にとどまっています。

共通テスト平均点推移(理科・数学)
概算にはなりますが、共通テスト5(6)教科合計平均点を文系型・理系型でそれぞれ選択者の多い科目で算出してみると、文系型は約0.8%(+7.36点)、理系型は約1.2%(+10.99点)のプラスとなっています。特に理系型は共通テスト1年目の2021年度に近い水準まで上昇する形となりました。ボーダーラインなども同様に上昇すると考えられます。

2024年度大学入学共通テスト平均点②

一方、一部の科目で難化もみられました。特に政治・経済はセンター試験以降で過去最低、英語リーディングはセンター試験時代の英語(筆記)を含め、1994年に次いで過去2番目に低い結果です。英語リーディングについては、昨年よりもさらに総語数が増えており、分量の多さが平均点を下げる一因にもなっていると考えられます。

ただし英語リスニングは導入以降で過去3番目に高い平均点で、英語合計でみると例年並みといえるレベルです。昨年、今年と低水準だった英語リーディングに対し、共通テスト開始以降上昇が続く英語リスニングと、対照的な格好になっています。

共通テスト平均得点率推移(英語)
また、主要20科目のうち平均点が60点を超えているのは7科目でした。理科基礎導入後、現行の科目数になった2015年以降では、昨年の6科目に次いで少ない数です。センター試験時代は例年10科目前後だったことを鑑みると、6割程度の平均点となるよう作題努力をすると公言していたセンター試験よりは、やや低い水準で定着する科目が増えることも考えられそうです。

センター試験/共通テスト 平均得点率60%以上の科目

共通テストも4年目を迎え、出題の傾向や難易度も概ね安定してきたとみられる結果でした。過去問が増え、受験生側が対策を進めやすくなってきたことも影響しているかもしれません。

しかし来年は新課程入試に切り替わり、「情報」の追加や地歴公民科目の改編、国語、数学Ⅱ・Bの大問数・試験時間増といった変更が予定されています。科目によっては再び平均点が大きく変動したり、科目得点差が拡大したりする可能性もあります。過去には、2015年の新課程変更時に数学Ⅱ・Bの平均点が39.31点と過去最低を記録することもありました。

ただし、既に新課程入試に向けて出題内容や形式は少しずつ変わってきています。特に来年の受験生は、既に試作問題が公開されているとはいえ本番の試験で新しい問題に対応する必要が生じるため、不安な面もあると思われますが、過去問や模試などを利用して、志望校の配点等も加味したうえで、入念に対策を進めることが重要となるでしょう。

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受験率は回復傾向が続く。7科目受験者の割合は昨年からさらに上昇

今年の共通テストの志願者数は現役生総数の減少に伴い昨年から20,667人減少し、受験者数も16,443人減少しました。追試験のみの受験者数も、過去最多だった昨年の2,737人から1,085人と半数以下に減少しています。新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行となり、コロナウイルスによる受験許可者が1,833人→366人と大きく減少したことが主な要因です。

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また、1月に発生した能登半島地震を受けて、被災者は書類提出不要で追試受験可という措置が取られ、追試験場に金沢大学が追加されました。被災を理由に追試受験が許可されたのは19人、実際の金沢大学での受験者は15人でした。

受験率(志願者のうち実際に受験した人数の割合)は93.03%で、2021年に大きく下がってからは3年連続で上昇しています。2021年は共通テスト初年度だったこと、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い首都圏などで緊急事態宣言が発令されたこと等の影響で受験率が下がったとみられますが、徐々に状況は戻りつつあります。

ただ、2020年以前の水準に比べるとやや低く、総合型・学校推薦型選抜の拡大に伴う、共通テストに出願したものの合格によって不要になった受験生の増加等が要因として考えられます。

センター試験/共通テスト 志願者・受験者・受験率
受験科目数別の受験者数は、昨年に続き私立型の3科目受験者が最も大きく減少しています。私立専願で共通テストを利用する受験生は、センター試験末期と比べて少なくなってきているとみられます。

一方、国公立型7科目受験者は、昨年度から数は減少していますが減少幅は小さく、全受験者に占める割合は昨年から+1.5%、58.3%と6割近い数値になりました。

センター試験/共通テスト 科目数別受験者