志願者総数は50万人を下回る一方で、現役割合は最高値を更新
2024年度入試で4回目、また新課程入試変更前では最後となる共通テストの志願者数は、昨年度から20,668人減少し、491,913人と50万人を割り込みました。センター試験以降50万人を下回るのは、センター試験開始3年目の1992年度入試以来です。
一方、現役志願率(現役生全体のうち共通テストに出願した者の割合)は45.2%、また共通テスト志願者全体に占める現役生の割合は85.3%で、どちらも過去最高をわずかながら更新しました。多くの現役生が共通テストに臨み、現役生中心の入試である様相がうかがえます。
それに対して、高等学校等卒業者(浪人生)は今年度も3,422人減(対前年比95.2%)、これで5年連続の減少となり、占有率も13.9%と過去最低を更新しました。なお、共通テスト導入の2021年度入試以降で見ると、浪人生における女子割合が26.9%→27.8%→28.8%→29.8%とやや上昇傾向にあります。
志願者総数の減少は、高等学校等新規卒業見込者(現役生)総数が、過去5年で10万人以上減となるほど減少している影響とみられます。ただし、文部科学省によれば18歳人口は一旦ここで下げ止まり、数年は横ばいで推移と推計されているので、来年度入試は志願者数も横ばいとなるかもしれません。
しかし、過去、入試制度が変更された年は、特に浪人生の減少が目立ちます。近年であれば、新課程入試として数学・理科の出題が変更になった2015年度入試は111,914人→98,728人、そしてセンター試験から共通テストに切り替わった2021年度入試は100,376人→81,007人と、いずれも大きく減少しています。
もとより近年減少が続く浪人生ですが、来年度入試で再び新課程に変わることで、よりいっそう数が少なくなることも考えられます。
共通テスト利用大学数は707大学、私立の利用大学がわずかに減少
2024年度入試の共通テスト利用大学の総数は707大学、専門職大学・短期大学を含めると864大学で、過去最多だった昨年度の870大学からは6大学減少する形となりました。
国公立大学は全大学が共通テストを利用しますが、公立大学に関しては2023年4月から公立大学化した旭川市立大学(北海道)が今年度から加えられたことによって、昨年度の94大学から1大学増の95大学となります。
私立大学は全体の約9割が一部あるいは全学部で共通テストを利用します。昨年度入試からの変更として、北海道武蔵女子大学(北海道)・仙台青葉学院大学(宮城)・愛知医療学院大学(愛知)の3大学が、いずれも短大から4年制大学へと変更・開学することに伴い新規利用する一方、旭川市立大学へと公立大学化した旭川大学(北海道)や学生募集を停止した恵泉女学園大学(東京)など、8大学が利用を中止した結果、530大学と昨年度入試から5大学減少しました。
現役志願率には地域差がみられる。東京や広島は高い志願率を継続
2024年度入試の現役志願率を出身高等学校等の所在地別に見てみると、最も高いのは東京(58.0%)、最も低いのは沖縄(32.1%)でした。今年度入試に限らず例年こうした地域差がみられ、特に東京・広島・愛知・富山は過去3年すべて50%を超える高い志願率が続いています。
また、同じ大都市圏でも、東京が6割近い志願率を示す一方で、大阪は4割未満にとどまり、その差は20ポイント以上あります。そのほか大阪と同じ関西圏でも、兵庫県は5割近い志願率で上位に位置しています。地域・都道府県によって、共通テストに出願するか否か、大学入試への取り組み方が異なっている様子がうかがえます。