2023年度 大学入学共通テスト平均点(最終)・受験状況

数学の平均点が大きく上昇、一方で全体的には難化の傾向もみられる

2023年2月6日、大学入試センターから2023年度大学入学共通テスト実施結果の概要が公表され、確定した共通テストの平均点が公開となりました。

2023年度大学入学共通テスト平均点①

数学Ⅰ・Aや日本史Bなどがセンター試験以降過去最低値を記録するといった大幅な平均点の低下が特徴的だった昨年度でしたが、今年度は特に数学Ⅰ・A/Ⅱ・Bの上昇が目立ちます。数学Ⅰ・Aは+17.69点[55.65点]、数学Ⅱ・Bは+18.42点[61.48点]、数学合計では+36.11点[117.13点]と大きく上昇しました。数学Ⅱ・Bは過去20年では最も高い平均点です。

この数学の影響で、共通テストの合否ボーダーラインや第1段階選抜通過ラインなども昨年度から上昇するとみられます。概算ですが、共通テスト5(6)教科合計平均点を文系型・理系型でそれぞれ選択者の多い科目で算出してみると、文系型は約3%(+26.75点)、理系型は約4%(+37.02点)のプラスとなっており、ボーダーラインなども同様に上昇すると考えられます。

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2023年度大学入学共通テスト平均点②

一方、昨年度過去最低だった生物の平均点はさらに低下し、最低値を更新しました。生物は中間集計の段階で平均点が40点を割り込み、物理との差が20点以上開いたため、共通テストになって2度目の得点調整が実施されましたが、その調整後でも最低値を記録するほどの難化となりました。

同様に得点調整の対象となった化学は、中間集計時は過去最低だった昨年度の平均点とほぼ同じ水準でしたが、調整後はやや上昇する形となりました。ただし点数は54.01点と50点台前半であり、近年平均点が60点を下回る結果が続いています。

そのほか、多くの受験生が受験する英語(リーディング)や国語の低下も目立ちます。両科目とも得点率は50%台前半で、これまでの平均水準と比較すると低い点数です。英語(リーディング)は過去20年では最も低く、国語も過去20年では4番目に低い得点でした。また主要科目のうち平均点が60点を超えている科目数も今年度は6科目で、理科基礎が導入され現行の科目数になった2015年度以降で最少です。

2023年度大学入学共通テスト平均点③
2023年度大学入学共通テスト平均点④

数学の平均点回復によって、異例の平均点低下を記録した昨年度から例年並みの難易度に戻ったようにも思えますが、平均点が下がっている科目も多く、全体としてみると共通テスト移行後難化の傾向が続いていると捉えることもできます。5(6)教科の概算も、共通テスト1年目である一昨年度よりは低い水準となっています。

共通テストも3年目を迎え、出題の傾向や難易度も概ね定まってきたとみられます。今後も今年度程度の難易度が続き、6割程度の平均点となるよう作題努力をすると公言していたセンター試験からやや難化といえる状態が定着することも考えられます。過去問が増えることで対策はより進めやすくなりますが、志望校の配点等も加味したうえで、入念な準備と対策が必要になるでしょう。

共通テスト受験率は回復傾向。7科目受験者の割合が過去最高に

今年度の共通テストの志願者数は現役生総数の減少に伴い昨年度から17,786人減少し、受験者数も14,332人減少しました。一方で、追試験のみの受験者数は2,737人とこれまで最多だった一昨年度(1,021人)から倍以上に増加、本試験+追試験の受験者も707人とともに過去最多となりました。新型コロナウイルス感染症罹患による追試験受験許可者が、昨年度の213人から1,833人と大きく増加したことが主な要因です。

受験率(全志願者における受験者の割合)は昨年度の92.08%からわずかに上昇し92.48%でした。一昨年度はコロナ禍が主に影響し過去最低値の90.45%でしたが、そこから徐々に回復傾向をみせています。とはいえ2020年度以前の水準に比べると低く、共通テストに出願したものの総合型・学校推薦型選抜で合格を決め共通テストが不要になった受験生などを中心に、受験を回避する傾向が依然強いものと思われます。

センター試験/共通テスト 志願者・受験者・受験率

受験科目数別の受験者数では、私立型の3科目受験者が昨年度から最も大きく減少しました。昨年度は最も大きく増加しており、増減が目立つ形です。また、国公立型7科目受験者は昨年度から数は減少していますが、全体の中での減少幅は小さく、その結果、全受験者に占める割合は56.8%と過去最高の割合となりました。

2023年度大学入学共通テスト 科目数別受験者