数学の出題分析

共通テスト科目別出題分析 一覧

分量が多く、かつ典型的ではない問題も含まれ、70分という試験時間では厳しすぎるセット。史上最低の平均点を更新

出題の特色

  • 対話文など処理する情報量の多さは昨年を踏襲。今年はそれに加えて、非典型問題や計算量の多い問題も
  • 対話文の内容は問題に無関係なものがある一方、解法の露骨なヒントであるものもあり、存在意義は疑問
  • データの分析の散布図問題は数学とは考え難く、計算だけが厳しい問題もあり、何を問いたいのか不明瞭

設問概要・講評

共通テストは、対話文など処理すべき情報量が増えたものの、計算量が減少することによりバランスを取っていると言われることもありました。しかし2022年度は、情報量はそのままで計算量が格段に増えたことにより、70分という時間では厳しいセットが出題されました。さらに、思考力を問う目的か、問い方がよくあるものではなく、一捻りされたものがいくつか見られました。

試験時間が長い試験であれば歓迎ですが、短い試験時間の中での今回の問題は受験生に酷だと思われます。また昨年同様、対話文は解法の露骨なヒントであることも多く、思考力を問うために捻った問い方をした問題と比べてちぐはぐな印象でした。データの分析には散布図の点の数を数えるなど、数学の問題と考えると時間を浪費しかねない問題もみられました。

第1問
〔2〕は三角比を用いる問題で、対話文がありますが精読する必要はありません。〔3〕の(2)は典型的な出題ではない問題でした。
第2問
〔1〕の前半は、対話文に解法のポイントが書いている問題でした。〔2〕はデータの分析で、相関係数の計算が面倒であり、さらにその値から散布図を選ぶ問題は「数学」とは異なる毛色の出題でした。
第3問
完全順列や攪乱順列と呼ばれる有名な設定の確率の問題です。選択問題の中では、誘導が丁寧で解きやすいといえる問題でした。
第4問
不定方程式の問題で、こちらも有名な設定です。しかし、係数に指数の形のものがあり、後半この指数が1増えると計算が膨大になります。
第5問
(1)ではメネラウスの定理、(2)ではそれに加えて方べきの定理を用います。どちらもセンター試験からの頻出の道具です。(3)は(1)の数値替えを逆から解く問題でした。

配点・出題内容・難易度

大問 配点計 小問 配点 出題内容 難易度
第1問 30 〔1〕 10 数と式 標準
〔2〕 6 図形と計量 標準
〔3〕 14 図形と計量 標準
第2問 30 〔1〕 15 2次関数 やや難
〔2〕 15 データの分析 標準
第3問 20 20 確率 標準
第4問 20 20 整数の性質 やや難
第5問 20 20 図形の性質 やや難

※第3~5問より2問選択。難易度は絶対評価

平均点の推移

年度 平均点
2022 37.96
2021 57.68
2020 51.88
2019 59.68
2018 61.91
2017 61.12
2016 55.27
2015 61.27
2014 62.08
2013 51.2

処理する情報量が多く、典型的ではない問題も含まれたからか、計算量はそれほど多く感じられないものの平均点は大幅ダウン

出題の特色

  • 対話文をはじめとして処理する情報量が多いが、その分、計算量を抑え気味にしている。しかし時間に余裕があるとは言えない
  • 対話文や考察は2021と同様に露骨な解法のヒントであり、必要性が感じられない
  • 選択問題のベクトルは計算をほとんど必要とせず意味を問う良問である一方、数列の長文の問題文には苦戦を強いられたとみられる

設問概要・講評

対話文をはじめとする問題文の長文化によって生じる情報処理量の増加に対し、計算量を抑えることでバランスを取ろうとしているところは、全体として昨年の流れを踏襲しているといえるでしょう。

計算量が大変少なかった昨年と比べるとやや増加した印象はあるものの、そこまで面倒と感じるところはありませんでしたが、平均点は2021年度第1日程の59.93点から43.06点と予想を大きく超える低下となりました。対話文の内容は、2021年度と同様に解法の露骨なヒントがほとんどであり、その意義がやや疑問視されます。また選択問題では、第3問の統計的推測が他の二つと比べると大変解きやすく、難易差があった印象です。

第1問
〔1〕は円を境界とする部分と直線の共有点に関する問題です。〔2〕は底と真数を入れ替えた対数の大小に関する問題です。
第2問
〔1〕は3次関数のグラフについてですが、方程式からグラフの形を問う問題は2年連続の出題です。〔2〕は面積の問題で典型的です。
第3問
連続型確率変数に関する問題で、昨年は第1日程、第2日程ともに離散型だったこととは対照的です。問題文に積分が出てきますが、積分計算は結果的に必要ない問題でした。
第4問
ダイヤグラムをもとにした数列の漸化式の問題です。漸化式は複雑なものではありませんが、問題文の長さがネックになったと思われます。
第5問
ベクトルに関するさまざまな問いが含まれる問題です。ほとんど計算を必要とすることなく、最後の対称点を求める問いでも、対話文で計算中心の解法を戒められています。

配点・出題内容・難易度

大問 配点計 小問 配点 出題内容 難易度
第1問 30 〔1〕 15 図形と式・三角関数 やや易
〔2〕 15 指数・対数関数 標準
第2問 30 30 微分・積分 標準
第3問 20 20 確率分布と統計的な推測 標準
第4問 20 20 数列 やや難
第5問 20 20 平面ベクトル 標準

※第3~5問より2問選択。難易度は絶対評価

平均点の推移

年度 平均点
2022 43.06
2021 59.93
2020 49.03
2019 53.21
2018 51.07
2017 52.07
2016 47.92
2015 39.31
2014 53.94
2013 55.64

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