一般選抜 志願者・第1段階選抜

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一般選抜の志願者数と倍率

2021年度入試は、大学入試改革元年としてセンター試験に代わり新たに大学入学共通テストが実施され、試行調査の状況などから平均点が大きく下がるのではないかとの見方もありましたが、結果的には平均点は下がることなくむしろ上昇した科目もあり、それによって出願に大きな影響が生じることはなかったとみられます。

志願者数は9,089人と昨年度を下回り3年連続の減少となりました。過去20年では志願者数の減少が3年以上継続することはありませんでしたが、9,675人の志願者を集めた2018年度から減少が続き、2005年度の9,156人を下回って過去20年で最少の志願者数となっています。ただし、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で全体的に地方から東京への出願を控えたケースがあったと推測されるものの、出身校所在地別志願者数をみる限り、東京大学ではそのような動きは少なかったようです。

【資料1】2021年度 一般選抜 志願者・第1段階選抜実施状況​

科類ごとにみると、昨年度よりも志願者数が増えたのは文三、理一のみで、理二は横ばい、他の科類は減少しています。文理別にみると、文科は対前年94.5%、理科は100.9%で、文科減少、理科横ばいの状況です。

【資料2】一般選抜(前期日程) 志願者数​​

文科では文一と文二の減少が目立ちました。文一は2013年度以降では最も高い倍率となる志願者数を2019年度から2年連続で集めていましたが、今年度は10%を超える減少となりました。文二は2019年度から減少傾向でしたが、今年度も1割近く減少し、過去20年で最少の志願者数となりました。文科は第1段階選抜予告倍率が約3.0倍で全科類共通ということもあり、志願倍率の科類間序列に規則性はみられません。

理科では理一と理二に大きな変動は見られませんでしたが、理三の減少が目立ちました。昨年度は2018年度の面接復活や2019年度の第1段階選抜予告倍率縮小の影響などによる減少の反動から増加に転じましたが、今年度は再び大きく減少し、志願倍率が過去20年で初めて4倍を下回りました。理科は第1段階選抜予告倍率が全科類異なっていた2018年度まで(理一:約2.5倍、理二:約3.5倍、理三:約4.0倍)は、志願倍率は理三>理二>理一の序列が続いていましたが、2019年度に理三の予告倍率が約3.5倍に変更されて以降、理二との差が小さくなっており、今年度は過去最も小さい倍率差となりました。今後は理二の志願倍率が理三を上回ることもありそうです。

【資料3】一般選抜 志願倍率​​

第1段階選抜

今年度は、文二の志願倍率が予告倍率の約3.0倍を下回ったため、第1段階選抜が実施されませんでした。東大で第1段階選抜が実施されなかった科類が出たのは、2016年度以来5年ぶりとなります。文二以外の科類では、第1段階選抜が実施されたものの合格最低得点率の水準は高くなく、文一・文三ともに70%を下回りました。文三は昨年度が近年で最も低い得点率で、今年度は昨年度よりも上昇したものの2019年度の水準には至っていません。

文科の合格最低得点率の科類間序列は文三>文二>文一が定番の形で、2017年度から3年間は全科類で第1段階選抜が実施され、序列も定番通りと「安定した」状況でしたが、昨年度は文一>文二>文三の序列となり、今年度は文二で第1段階選抜が実施されないなど、「不安定」な様相を見せています。

理科では、理一は近年約75%~80%の合格最低得点率で推移しており、今年度も大きな変化はなくその範囲内ですが、理二は過去20年で最低だった昨年度とほぼ同じ69.9%、理三も過去20年で最も低い59.3%となりました。過去10年の推移をみると、理科の合格最低得点率の科類間序列に顕著な規則性はみられませんが、理三が最も低いケースが比較的多く、2018年度以降は4年連続で最も低い状況が続いています。

なお、第1段階選抜が実施されなかったケースは、文科では過去10年で文一2回、文二2回、文三1回の合計5回あります。数字上は2年に1回は第1段階選抜不実施の科類が発生する計算になりますが、その前の2001年度から2011年度までの11年間で第1段階選抜が実施されなかったのは2002年度の文三のみで、非常に稀なことでした。一方理科は、2001年度以降では2016年度の理二が唯一の不実施で、「第1段階選抜は実施されるのが普通」の状況が続いています。

【資料4】一般選抜 第1段階選抜通過ライン​