東大地震学の起こり
ところで東大の地震研究所が設立されたのは大震災後の大正14年10月であるが、それ以前から地震研究は行われていた。日本で最初に地震観測を始めたのは大学南校(東京大学の前身)のお雇い外国人フルベッキで、明治5年のこと。明治13年の横浜地震をきっかけとして工部大学校(東大工学部の前身)のジョン・ミルン、東京大学理学部のジェームズ・ユーイングらによって「日本地震学会」が設立され、地震と火山に関する情報の集約と分析が始まった。
東大で地震学の講義が始まったのは帝国大学に改組された明治19年で、ユーイングに師事した関谷清景(せきやきよかげ)が教授となった。世界初の地震学教授である。明治26年には地震学講座が誕生した。しかし関谷は肺結核療養のために講座を担当できず、明治29年に41歳で夭逝する。