「2022京大入試状況」一覧
志願者・入学者ともに近畿の割合が低下、関東の志願者は増加に転じ約2割に
一般選抜前期日程における出身地別の志願者割合は、例年地元近畿が最も多く約50%を占めています。ただし、今年度近畿が占める割合は昨年度から-2.8%と低下し、後期日程が廃止された2009年度以降では最も低い数値となり、全都道府県で最も志願者が多い大阪は79名減少(対前年93.7%)しました。
他方で大阪大学の志願者が増加(+510名)しており、その中でも大阪の志願者は155名増(対前年108.6%)でした。2022年度は共通テストが大きく難化したものの全国的には志願者が増加、強気の出願傾向があったとみられますが、特に近畿地区の京大志願者においては、安全志向で大阪大に流れる層もいたとも考えられます。
一方で関東と中部の占める割合は2009年度以降の最高値を更新しました。特に関東は上昇傾向で、直近2年こそやや低下が続いていましたが、今年度は+1.4%と上昇し約20%にまで達しています。関東で最多の志願者数を占める東京も3年連続の減少から増加に転じました。
入学者の割合も概ね志願者と同様で、今年度の近畿の割合は49.6%と50%を下回りました。2009年度以降では2019年度に次いで低い結果です。また、志願者が関東>中部であるのに対し中部が関東を上回っていますが、中部が概ね横ばいで推移している一方で、関東は志願者と同様2009年度以降で最高値を更新するなど上昇傾向にあるため、今後関東が中部を上回る可能性もあります。
近畿以外にも特に関東の割合が高い総合人間学部、地元が多数を占める医学部医学科
出身地別の入学状況を学部別に見てみると、学部によって割合が異なることがわかります。2022年度の近畿の割合は、総合人間学部が33.6%と最も低く関東と同等で、文学部も41.5%と全学部平均より大幅に低い一方、医学部医学科は70.1%と他と比べて圧倒的に高く、工学部も52.4%と高くなっていますが、これは概ね例年の傾向となっています。
総合人間学部は志願者で見ても近畿の割合が最も低くなっており、他の難関国公立大学では同様の学部が一般的に設置されているわけではないことなどから、地元以外の地域出身者にとっては魅力的に見えるのかもしれません。一方で医学部医学科は、全国に医学部を有する大学が存在するため、一定の地域的すみわけが成立しているとも考えられそうです。
志願者の多い地元近畿は合格率でも優勢、関東は苦戦だがやや上昇傾向
出身地別の合格率(入学者数÷志願者数 ※出身地別の合格者数は非公表)は、近畿・中部の合格率が高く関東が低い傾向です。志願者数でほぼ半数を占める近畿ですが、地元の高学力層が数多く京大に挑戦していることがうかがえます。また、志願者数は多くありませんが、近年中国・四国の合格率も高くなっています。
一方、志願者が2番目に多い関東は他地域と比較すると合格率が低く、志願者が多い東京、神奈川を中心に受験生が苦戦しているとみられます。学力最上位層は東大を目指し、それに次ぐ層が京大にチャレンジするという図式になった結果、合格率が低めである状況なのかもしれません。ただし、関東の中でも特に東京の合格率は上昇傾向で、受験者層に変化が生じているとも考えられます。