「2022京大入試状況」一覧
志願者減は一旦ストップ。文系学部は減少、理系は工学部の増加が目立つ
2022年度の京都大学一般選抜(前期日程)志願者数は全体で7,210人となり、昨年度から165人増加しました。2014年度から8年連続で減少傾向が続いていましたが、それには一旦歯止めがかかった形です。とはいえ、過去10年で最少を記録した昨年度に次いで少ない志願者数でした。
今年度はセンター試験時代も含めて過去最低点を記録する科目が複数生じるなど、共通テストが大きく難化しました。その影響を受けて、受験生が難関大出願を回避する傾向を示すのではないかとの予想もありましたが、そうした予想に反して京都大学に大きな影響は見られず、志願者は微増する結果となりました。
文系学部を見ると、全体の増加とは対照的に増加したのは教育学部[文系]のみで、それ以外の学部は横ばいまたは減少となりました。ただし教育学部[文系]は募集人員が文系学部で最も少ないため、年度によって増減差が生じやすく、一昨年・昨年度と比較的志願者が少なかったことの反動とも考えられるかもしれません。
文学部は2020年度から3年連続減少し、志願倍率は3.0倍に低下しました。2019年度以降、倍率は低下傾向です。法学部は2005年度以降最も少ない志願者数だった昨年度から横ばいで、依然として低倍率が続いています。
総合人間学部[文系]は昨年度増加した反動もあって減少、2005年度以降で最も少ない志願者数となりました。経済学部も2年連続減少し、2005年度以降で2015年度に次いで少ない志願者数となり、法学部とほぼ変わらない志願倍率となっています。
理系では工学部の増加が目立っており、学部全体で255人増となりました。昨年度減少した反動に加えて、今年度大きく難化した共通テストの数学が、合否決定の最終得点には利用されないことも増加の一因となったかもしれません。
工学部以外では薬学部、経済学部[理系]が昨年度から大きく増加しました。薬学部は2019年度以降志願者数が200人を下回り志願倍率も2.5倍を切っていましたが、今年度は200人を超え志願倍率も2.7倍まで上昇しています。
一方で理学部、医学部医学科は大きく減少し、2005年度以降で最少の志願者数を記録しました。理学部、医学部医学科ともに共通テストの得点で第1段階選抜を実施するため、今年度の共通テストの難化の影響で出願を敬遠した層がいることも考えられるかもしれません。
経済学部以外では、工学部の地球工・建築・工業化学科の募集人員が増加、物理工・電気電子工・情報・工業化学科の各高校からの推薦人数上限が1名から2名に変更、などの内容が予告されています。
工学部の学科ごとに見ると、地球工学科と電気電子工学科が特に大きく増加しました。地球工学科は近年志願倍率が2倍を下回っていましたが、今年度は2.3倍まで増加しています。また、情報学科は2017年度以降4倍を超える高倍率を維持しており、受験生からの人気の高さがうかがえます。一方、工業化学科は8年連続の減少となり、志願倍率は1.5倍を切るなど減少傾向が止まらない状況です。