問題の個別分析
分析 ① 大意要約問題
大問1のAは例年出題されている要旨要約問題でした。大まかな文章の内容は次のとおりです。
第1段落 | 社会が発展し、さまざまなグループとの協力が必要になったことで、imagined family「想像の家族」が創出された。 |
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第2段落 | 「想像の家族」の中で人々が平等・公平だとお互いをみなす基準が不明瞭である。 |
第3段落 | 共同体をまとめる際には普遍的な心理的傾向が働くが、その心理的傾向は共同体の生存を高めつつも、「集団外」の人々への差別へ繋がることがある。 |
端的にいうと、第1・第2段落で本文の主張はほぼ完結しているのです。第3段落の位置づけは、「基準が不明瞭であるがゆえに、現実社会ではこういった事態を引き起こしている」というような補足的な説明でした。この補足的な位置づけの第3段落の内容を、要約の一部分としてどう盛り込むか、といったところが表現力の問われるところでした。
解答例
人類は、血縁関係に基づく家族から成員が皆平等な想像上の家族へと共同体を拡大させてきたが、これにはある本質的な特徴を基に人を分類する心理的傾向が働いている。これは共同体の生存にとって有利だが、他の集団の人々との対立を生むことにも繋がる。(117字)
- 解答のポイントと対策
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- 抽象度が高く、英文自体の内容把握が困難であった。
- 論理展開(特に第2段落から第3段落の流れ)が把握しづらかった。
すなわち、要旨要約の全段階に難所があったといえます。下記の図を参考に、自身の弱点を把握し、入試本番で躓かないために対策を練っておきましょう。
分析 ② 読解・英作文統合問題
続いて、大問2(B)の自由英作文を取り上げます。各段落の要点をまとめると次のようになります。
第1段落 | 食物を手に入れるために棒を道具として活用できないゾウは、それができるチンパンジーほどの知能は持っていないと一般に考えられていた。 |
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第2段落 | ゾウは棒を用いずとも、自らの鼻を用いて、または棒ではない道具を用いて食物を取ることができるという事例を用いて、その一般通念に近年疑問が持たれている。 |
上記に続く結論の方向性には次のようなものが考えられます。
- これまでの動物の知能についての認識が誤っている。
- ゾウはゾウなりに自身の特徴を活かすため知能を用いている。
- ゾウよりチンパンジーが優れているとも、またはその逆であるとも言い切れない。
この問題が難しいと感じられた場合は、日本語ならできるのか、英語だからできないのか、というところを見直すのが、今後の学習を進める上での一つの指標になります。
解答例
The real conclusion could be that our understanding of animal intelligence is wrong. The scientists realized that just like humans, animals also possess different levels and types of intelligence. The elephant knows it has a trunk and uses that to reach out and grab things, so rather than use a stick, it ‘thought’ of a way to get closer to the food and then use its trunk. (67 words)
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