第2部 現役合格アドバイス〈全体編〉(2016年度「東大を語る」イベントレポート)

2016年7月16日()および9月3日()に、代々木ゼミナール・Y‐SAPIX共催セミナー「東大を語る」を開催しました。

第1部では、東大の教育システムに着眼してお話ししました。入学後の学びやカリキュラム概要のみならず、そこから東大を貫く精神を分析することにより、入試の担う役割について考えました。第2部では、入試に焦点を当て、今年度の入試概況から合格に必要な学力を検討し、今後の学習指針を示しました。第3部では、さらに志願者全員に関わる英語科に的を絞り、入試問題の特徴や次年度入試へ向けた効果的な学習方法を提案しました。

東大入試の特徴は、配点のバランスが良く、均整がとれている点です。文系志願者にも高度な数学を課し、理系志願者にも漢文が読み解けることを望みます。

第1部で触れたとおり、東大には1・2年次の教養学部があります。ここに反映されているのは、専門分野の垣根を越えて幅広く学んでほしいという想いです。教養課程では文系・理系問わず、横断的な学習をします。

ゆえに、入学試験でも、高校の教科をまんべんなく学習してきたかどうかが問われます。教養学部で学ぶ素地を見るための東大ならではの入試といえます。

2016年度入試概況

推薦入試の導入

実施初年度の最終合格者は定員100名に満たない結果となりました(推薦入試における欠員は、一般入試の募集人員枠に充てられました)。東大が合格者に相応しい者だけを厳正に選考した結果であるといえます。

定員を満たせなかった理由の一つに、高度な条件を課した募集要項ととらえられてしまったために、一定の受験者数を確保できなかったことが挙げられます。2017年度では要項の表現が見直されるなど、より積極的に推薦入試への挑戦を促す姿勢がうかがえます。

学部学科 募集人員 出願者数 第1次選考
合格者数
最終合格者数
100人程度 173 149 77
法学部 10人程度 24 24 14
経済学部 10人程度 7 7 4
文学部 10人程度 10 10 3
教育学部 5人程度 9 6 4
教養学部 5人程度 17 11 2
工学部 30人程度 47 44 24
理学部 10人程度 32 24 11
農学部 10人程度 12 12 9
薬学部 5人程度 4 4 3
医学部 — 医学科 3人程度 9 5 2
医学部 — 健康総合科学科 2人程度 2 2 1

首都圏合格者の割合は変わらない

大学の発表では、関東出身者の割合が減った点について言及がありました。たしかに、全受験区分から見ると、地域出身者を増やすことに成功しているように見えます。

しかし、最も受入数の多い前期入試の割合のみに焦点を当てると、横ばい(むしろ微増)であったことがわかります。したがって、依然として関東から東大へ進学をする割合は高いといえます。

2016年 地区別合格者割合

依然として中高一貫校が強い

東大進学者のなかで、中高一貫校出身者の割合は次第に高まっています。いまや6割を超え、3分の2に迫る勢いです。

参考)出身高校別 進学者割合
出身高校別 進学者割合

なかでも圧倒的に私立の占める割合が高いことに変わりありませんが、近年の公立中高一貫校の進学者数増は目覚ましいものがあります。

参考)公立中高一貫校実績例(過去6か年)
公立中高一貫校 2011 2012 2013 2014 2015 2016
仙台二華(宮城) 8
中央中教(群馬) 3 0 3 6 3 7
小石川中教(東京) 4 5 6 9 14
相模原中教(神奈川) 5 7
宮崎西(宮崎) 2 7 4 6 5 7
都城泉ヶ丘(宮崎) 4