2017年7月16日(日)および7月22日(土)に、代々木ゼミナール・Y‐SAPIX共催セミナー「東大を語る」を開催しました。
第1部では、現役合格アドバイスとして、東大に入学するための情報をお話ししました。これまでの入試の実施状況を分析し、合格の指針を示しました。第2部では、東大入学後の情報に焦点をあててお話ししました。大学の学びやカリキュラムを知ることで入学前後の学習の繋がりについて考えました。第3部では、現役東大生かつY-SAPIX卒業生の3名が登壇しました。受験勉強の苦労や大学生活のことなど、さまざまな視点で自身の体験談を語っていただきました。
志願者数の推移
近年、東大の志願者数は減少傾向にあります。2008年は前期日程だけでも1万人を超える志願者がいましたが、これ以降は1万人を割っています。
考えられる理由として、少子化による受験人口の減少や難関大学自体が敬遠傾向にあること、また地元志向が強くなっていることが挙げられます。ここ最近では、大学ごとの特色づけが推進されており、受験生もさまざまな観点から大学を選ぶようになっています。大学に多様な価値を見出すようになっていることが、結果として東大の受験者数減少に繋がっているものと考えられます。
- 参考)志願者数の推移
第1段階選抜合格の最低ライン
今年は3年ぶりに全科類で第1段階選抜を実施しました。例年、理系に比べ、文系はセンター試験の通過ラインが低くなる傾向があります。ここ最近の文系離れから、こうした傾向はより顕著になっていると言えます。
- 参考)第1段階選抜合格の最低ライン(単位:%)
文科合格者について
合格最低点
合格者の結果から、総合点の何%の得点で合格できたかをグラフにしました。この10年でも大きく移り変わっていることがみてとれますが、最低点が変動する要素は単に入試の難易度に拠るだけではありません。
採点の際、大学が独自に行う2次試験では、周囲の受験者の解答状況を斟酌して採点基準を調整することがあります。極端な例を出せば、仮に2年連続で同じ出題がなされたとしても、受験者の解答状況が違えば評価の仕方も異なるのです。
入試はあくまで入学者を選び抜くための試験です。目標点を掲げることも大切ですが、年ごとに基準が異なる可能性があるということを頭にいれておきましょう。目標にとらわれず、常によりよい答案をつくる意識が大切です。
- 参考)総合点〈センター試験+2次試験〉の合格者最低点(得点率)
合格者の各教科得点率
文科合格者の成績開示データを科類ごとに過去3年分集計しました。
2016・17年度入試の平均点は全体的に上昇しています。特筆すべきは、文一・文二で数学の得点率が大きく上がってきていることでしょう。合格者・不合格者を比べると、得点率の開きが大きいのも特徴です。文科受験生であっても、合否の分かれ目は数学にある、といっても過言ではありません。
一方で、合格者・不合格者の間で、しばしば得点率の開きがないのが国語です。今年度においても、国語はもっとも差がつきにくかったといえます。
教科ごとの得点率の差が縮まったことから、特定科目で大きな失敗をしてしまった場合、合格は一気に遠のきます。どの科目も万遍なく学習し、苦手を作らないことが重要です。
東大は、求める学生像のなかで“文系・理系にとらわれず幅広く学習”する姿勢を挙げています。近年の東大入試には、こうした学生を選抜したい気持ちが反映されているといえます。
- 参考)文科合格者の開示成績(単位:点)
- 参考)文科合格者の平均点・最低点
- 参考)文科合格者・不合格者の平均得点率の比較
理科合格者について
合格最低点
近年、合格最低点は上昇傾向にあります。今年も前年度より3~4%上昇しました。各科類とも01年以降では過去最高の点数でした。
- 参考)総合点〈センター試験+2次試験〉の合格者最低点(得点率)
合格者の各教科得点率
理科合格者の成績開示データを科類ごとに過去3年分集計しました。
今年度の数学は理系の学生にも比較的取り組みやすかったと考えられます。というのも、標準的な問題をしっかり勉強した人が点数をとれるよう、意図的な作問がなされていたとのことです。来年度以降はこの2年の結果を踏まえて作問の仕方を再検討することが明言されています。今後、変更が生じることもありうるため、注意が必要です。
理科合格者の事例から、理系の主要科目である数学や理科でしっかりと得点できた生徒が合格していることがわかります。その一方で、センター試験で9割強取ることのできた生徒も、2次試験の数学で平均点を大きく割り、理科や国語も合格者平均より下回ってしまったために、合格を逃してしまった例があります。
- 参考)理科合格者の開示成績(単位:点)
- 参考)理科合格者の平均点・最低点
- 参考)理科合格者・不合格者の平均得点率の比較
2次試験に必要となる点数
センター試験の得点率から、2次試験で必要となる点数を算出しました。
- 参考)センター試験得点率ごとの2次試験必要点数
2次試験に必要となる点数
今年度は、東京を含む関東の志願者および合格者が減少し、地方の受験者の割合が若干増加しました。
地区別合格者の割合を見てみると、例年、近畿地区の合格者の割合が高くなっています。全国と比べても10%ほど高い水準を保っていることがわかります。関西圏にも京都大学をはじめとする魅力的な大学が数あるなか、あえて東京大学の受験を志すというだけあり、しっかりと東大入試に向けて対策をした受験生が集まってきているものと推測できます。
- 〈前期〉地域別志願者割合/〈前期〉地域別合格者割合
- 参考)地区別合格率
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