第2部 東大の教育システム(2017年度「東大を語る」イベントレポート)

2017年7月16日()および7月22日()に、代々木ゼミナール・Y‐SAPIX共催セミナー「東大を語る」を開催しました。

第1部では、現役合格アドバイスとして、東大に入学するための情報をお話ししました。これまでの入試の実施状況を分析し、合格の指針を示しました。第2部では、東大入学後の情報に焦点をあててお話ししました。大学の学びやカリキュラムを知ることで入学前後の学習の繋がりについて考えました。第3部では、現役東大生かつY-SAPIX卒業生の3名が登壇しました。受験勉強の苦労や大学生活のことなど、さまざまな視点で自身の体験談を語っていただきました。

教養学部の精神

教養学部は東京大学が生まれ変わった1949年5月31日に発足しました。1990年代に多くの大学が教養学部を廃止する一方で、東京大学は教養学部を堅持し、いまも伝統として残っています。

東京大学の特色

東京大学では、入学後に学部を決定する「進学選択」があります。

どの科類で入学した生徒も、1・2年生は教養学部前期課程の在籍です。この2年間は、3年次から高度な専門教育を受けるための基礎をつくる期間ともいえます。ここでの成績は、3年次に進学する学部決定にも関わります。

各学部への進学先は図のとおりです。所属に関わらず、どの学部にも進学できる枠が設けられています。ただし、進学先の学部学科により、教養学部前期課程で特定の講義の履修を条件とする場合があります。1・2年次での選択とその成績は後の進路選択と無縁ではありません。

東京大学の特色

東大生アンケート

現役東大生のインストラクター(※)のアンケート結果をご紹介します。

※Y-SAPIXで学習サポートを行う大学生を指します。

入学前に志望学部学科は決めていましたか。

入学前に志望学部学科は決めていましたか。

約3分の2の学生はあらかじめ心に決めていたようです。そのなかで希望どおりの学部学科へ進んだ人は56%でした。1・2年次に心変わりをした学生や希望した学部学科へ進めなかった学生がいました。

現在の学科に満足していますか。

現在の学科に満足していますか。

およそ9割の人が満足しているという回答でした。専門分野を基礎から履修できるカリキュラムになっているため、本格的に触れたことのない学生でも自分に合った講義を選択できているようです。これに加えて、自分のコース以外に興味が湧いたとしても、履修の幅を広げることができるため不満はない、という声もありました。

「いいえ」と回答した割合は少数でしたが、想像していた学問と違った例や、決定後に他の分野に興味を持った例がありました。このようなミスマッチを防ぐためにも、1・2年生のうちにさまざまな分野を知り、視野を広げておく必要があるでしょう。

1・2年次に必要だと感じたことは何ですか。

  • なるべく早いうちに進路を決めるべき。
  • 志望が決まっていない場合は、前期教養課程の授業や周りの人の話を参考に決めること。
  • 希望の学部学科が決まっているか否かにかかわらず、進学に必要な点数を意識しておくこと。
  • 前期教養課程の間に、目指している進路と異なる学問についても幅広く勉強すること。
  • アルバイトやボランティアをして、さまざまな経験を積み、たくさんの人と関わること。
  • 1年生にとった成績を挽回するのが難しいため、入学後も気を抜かずに勉強すること。
  • 第2外国語の成績も重要になるため、よく勉強したほうが良い。

志望学部の決定に関わる意見が多くありました。進路選択の際、特定科目の履修が条件となる場合や、一定の点数をクリアしていることが条件となる場合があります。そのため、なるべく早い段階で目処をつけておかなくてはなりません。

入学してから進路を考えることができるのは東大の魅力のひとつですが、選択は1・2年次からはじまっていることに注意しましょう。志望を決めかねている場合は、興味のある講義に積極的に参加し、周囲の学生や先輩の意見をもとに絞るのがおすすめです。

また、「進学振り分け」という名称が「進学選択」に変わってから、1年生でとった点数を挽回することが難しくなった、という声もあります。必修科目や語学の勉強も気を抜けません。入学後こそ、学びの本番といえそうです。

大学に入って失敗したことや周囲の失敗例を教えてください。

  • 履修登録を間違えてしまった。
  • 必要単位数を満たすことができなかった。
  • 「本郷で授業を受けたい」という単純な理由で進学先を選択してしまった。
  • 薬学部に入る目的で入学したが、進学に必要な点数が足りなかった。
  • 進学選択で理転したが肌に合わず「降年」し、進学選択からやり直した。

まず、気を付けたいのは自分の履修管理です。これは東大に限らず、大学生はもっとも気をつけるべき点でしょう。

東大特有の失敗例としては、進学選択に満足できなかった例があります。やはり1・2年次でしっかりと自分の進路を検討する必要があります。実際の進路決定の際には、第1希望以外の学部に決まってしまうこともあります。自分が希望する学部についてよく知らなかったために、3・4年次で苦労している例も見られました。前期教養課程のなかで興味のある学問と近い分野の講義を履修したり、進学しようとしている研究室の研究内容を調べたりするなど、積極的に情報収集をしたうえでイメージを膨らませておきましょう。

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