第3部 OB体験談(2017年度「東大を語る」イベントレポート)

2017年7月16日()および7月22日()に、代々木ゼミナール・Y‐SAPIX共催セミナー「東大を語る」を開催しました。

第1部では、現役合格アドバイスとして、東大に入学するための情報をお話ししました。これまでの入試の実施状況を分析し、合格の指針を示しました。第2部では、東大入学後の情報に焦点をあててお話ししました。大学の学びやカリキュラムを知ることで入学前後の学習の繋がりについて考えました。第3部では、現役東大生かつY-SAPIX卒業生の3名が登壇しました。受験勉強の苦労や大学生活のことなど、さまざまな視点で自身の体験談を語っていただきました。

東京大学に通っている3名の学生が登壇し自身の体験談を話してくれました。

座談会参加者(以下敬称略)

  • 法学部4年 Tさん
  • 文科三類2年 Yさん
  • 理科一類1年 Oさん

高校生のとき、苦手科目はありましたか。あった場合はその克服方法も教えてください。

Tさん

文科一類の入試では数学で差がつくと聞いていましたが、一番の苦手科目が数学でした。克服するために、塾のテキストの基礎的な問題をやり直し、市販テキストの標準レベルの問題を繰り返し解いて、問題パターンに慣れました。

Yさん

受験科目として世界史と日本史を選択していました。記憶力には自信がありましたが、両方とも覚えることの多い科目だったため苦労しました。対策の仕方に困り、東大二次の問題に目を通したところ、日本史では細かい知識が必要とされるより、与えられた資料を分析・活用する力を見る問題だと思いました。そこで、日本史の知識はセンター試験レベルでよいと割り切って、資料読解の対策に絞りました。苦手を克服するというよりも、対策の仕方を考えられたことが功を奏したと思います。

Oさん

化学と国語が苦手でした。化学は基礎的な問題を繰り返し解き、まずは標準レベルを目指して勉強しました。国語については、他の科目に比べて差がつきにくいと考えて、あえて時間を割きませんでした。その分、他の科目の勉強をするようにしました。

センター試験や二次試験の出来はどうでしたか。失敗などはありましたか。

Tさん
センター試験当日、国語の試験中に貧血を起こし、国語の試験を40分で解かなくてはならない状況になってしまいました。このような予期せぬトラブルがあり、目標点に届かないとわかったときは、とてもショックを受けました。しかし「二次で合格できたら英雄になれる!」と割り切れたことで、1月・2月も集中して勉強することができました。センター試験で失敗してしまっても、気持ちを切り替えることが重要だと実感しました。
Yさん
センター試験では目標だった9割前後を達成できました。しかし、二次試験では国語・数学・地歴・英語とどの科目もまったく手応えがなく、成功したと言える科目は一つもありませんでした。得点開示ではどの科目も平均点をやや下回っていましたが、結果として合格することができました。このことから、極端な苦手科目をつくらないこと、特定の科目で大失敗しないことが大事だったのだと思いました。バランスよく勉強し、本番でどれか失敗をしてしまったとしてもカバーできるくらいを目標に勉強しておくと良いのではないかと思います。
Oさん
センター試験の得点は7割強でした。二次試験に進めるかどうかさえ怪しいと思っていましたが、無事受験票が届いたことで嬉しくなり、挽回してやろうという力に変えることができました。二次試験では合格者平均を超える得点をとり、合格することができました。

受験期について、後悔していることはありますか。

Tさん
苦手科目を後回しにしなかったことが大事だったと思います。高1のときは好きな教科の英語ばかり勉強していたのですが、高2の模試で先生に指摘されたことを機に、苦手な数学を取り組みはじめました。早いうちに数学に向き合えたことで、総合的に成績が安定したと思います。
Yさん
東大にはALESS・ALESAやFLOWなどの語学プログラムがあるため、入学前から実践的に英語を使う訓練をしておきたかったです。現状の入試では、スピーキング・ライティングなどの能力を深く問われることはありませんが、大学入学後のことも視野に入れて勉強しておくと良いと思います。
Oさん
センター試験以外はうまくいったと思います。ただし、大学に進学したあとのことも考えて、大学の学問に繋がるような勉強をしておきたかったと思います。想像していた以上に、大学の1年次の勉強は大変です。

大学に入って感じたことを教えてください。

Tさん
高校との違いは”自由”であることです。部活の入部も必須ではありませんし、授業の履修や出席を学校側が細かく管理してくれるわけではありません。しかし、自由だからといって、周囲は漫然と過ごしているわけではありません。東大には主体的に動くことのできる学生が多くいます。そのため、1・2年次から積極的に何かに取り組んでいないと、周りに置いて行かれてしまう気さえします。1・2年次も計画的に過ごすと良いと思います。
Yさん
志の高い学生が多いと感じました。理科三類以外から医学部進学を目指すのは狭き門と言われていますが、同じ文科三類から進学を目指して勉強している学生がいます。また、TLP(トライリンガル・プログラム)を利用して海外留学し、フランスの大学で研究発表をした学生も知っています。このように活躍の幅にとらわれない学生が多いため、とても良い刺激になっています。
Oさん
高校のときよりも、時間割が不規則で複雑になりました。空きコマの使い道やどの時間で勉強するかを考えるようになったところが高校と違うところだと思います。

1・2年生の授業はどうでしたか。

Tさん
語学学習が主体でした。英語と第2外国語のスペイン語を履修していましたが、それぞれ週2~3コマ授業がありました。私はあらかじめ法学部に進みたいと考えていたため、これに加えて、法律系や政治系の科目を履修しました。また、必修授業に体育があり、毎週楽しみにしていました。
Yさん
やはり語学の授業が多い印象があります。英語・フランス語に加え、第3外国語として、イタリア語とインドネシア語をとっていました。語学以外の授業でおもしろいと感じたのは、トランプのゲームを扱った授業です。授業内でコントラクト・ブリッジというゲームのルールを一から勉強しました。授業の一環で、大会にまで出場する機会があり、とても有意義な講義だったと思います。このようなエンターテイメント性のある授業を選ぶこともできるため、興味がある方は履修を考えてみてください。
Oさん
まだ1年生の最初の学期しか経験していませんが、そのほとんどが必修科目です。これから自分の取りたい授業を徐々に選べるようになるため、今後良い授業に巡り合えたら良いと思っています。

進学選択についてお伺いします。

(法学部4年生のTさんへ)進学選択で今の学部を選んだ経緯を教えてください。

Tさん
将来の進路として、官庁に進むか民間就職にするか悩んでいました。法学部に進めばどちらの道も残されると思い、進学を決めました。ちなみに、法学部では研究室がないかわりに、全学生が六法を一通り学習するようなカリキュラムになっています。

(文科三類2年生のYさんへ)進学選択の最中ですが、どのように考えていますか。

Yさん
文科三類から教育学部教育心理学コースを志望しています。入学当初は漠然と文学部系統に進むことを考えていました。しかし、1・2年次の授業のなかで心理学に出会い、文系・理系が交わる学際的な学問である点に魅力を感じました。また、Y-SAPIXのインストラクターとして受験業界で仕事をしていくなかで、教育関係にも興味が出てきました。そのため、2つがあわさっている教育心理学を第一に学びたいと考えていて、今から臨床や発達といった心理学の分野を中心に勉強しています。将来については、現時点では医療系の仕事に就くことを考えています。進学先の学部で公認心理士の取得が認められるのであれば、ぜひ取得したいです。

(理科一類1年生のOさんへ)入学したばかりですが、行きたい学部は決まっていますか。

Oさん
まだ決まっていません。東大を選んだ理由の一つとして、入学後に進路を選べるというところに魅力を感じていました。これからじっくり考えたいです。

最後に受験生のみなさんにメッセージをお願いします。

Tさん
東大には、みなさんの能力や才能を十二分に発揮できる環境があります。優秀な学生と素晴らしい教授が揃っています。大学についてしっかり調べたうえで、合格したい気持ちを強く持って受験に臨んでください。応援しています。
Yさん
受験をするからには進学する理由を明確にしておいたほうが良いと思います。できるかぎり入学前に自分の進路について考えておいてください。東大には1・2年次に学部の定まっていない期間がありますが、それは単なる猶予期間でなく、将来専門に進むための基礎や関連分野を学ぶ時間です。高校のときから、受験勉強に直接関係ないと思う事柄についても見聞を広めておいてください。また、保護者のみなさまには、まずはお子さんがやりたいことをやらせてあげてほしいと思います。東京大学への進学はあくまで選択肢の一つに過ぎません。明確な理由をもなく、東京大学に進学すること自体を目的にしてしまうと、仮にどこかで失敗してしまったときに、取り返しのつかない状況に追い込まれ、気持ちの行き場がなくなってしまいます。そのため、大学受験までに、あえてさまざまな選択肢について考えさせる機会があると良いのではないかと思います。
Oさん
受験勉強は大変で厳しいものです。しかし、その経験が糧になります。これから受験するみなさんにも全力を尽くしてほしいです。

東大対策 関連情報

SAPIX YOZEMI GROUPでは、東大を目指す受験生の皆さんに向けて、様々なイベント・対策講座の実施や情報発信を行っております。詳細は下記のページをご覧ください。

  • Y-SAPIXにて、東大を含む各難関大学の出題形式・傾向に合致したテスト演習を行い、その後、手元に採点された答案を置いた状態で解説授業を受講することができる「2018年度 高3生対象 難関大学SS特訓」を実施中です。