Special Interview
株式会社DeepX
代表取締役
那須野 薫 氏
1990年神奈川県生まれ。東京大学工学部を卒業後、同大学大学院工学系研究科修士課程で工学系研究科長賞を受賞し、修了。東京大学松尾研究室で、ビッグデータ解析、機械学習、ディープラーニング技術の応用研究等、幅広い研究開発に従事。博士課程在籍中の2016年4月、人工知能技術を応用して社会課題の解決に貢献したいという思いから、「DeepX」を創業。
チャンスに飛びつける素地や土台を築いておくことが大事
※本インタビュー記事はSAPIX YOZEMI GROUPが制作している「2020 東京大学京都大学 AtoZ」(2020年10月23日発行)より転載したものです。
東京大学に入ってよかったのは、とにかくまわりの学生が賢かったことです。私自身、高校はトップの成績だったのですが、東京大学に入学したら「上には上がいる」と打ちのめされました。大学で様々な人たちと議論していくなかで、自分にはない観点を知り、新たな視点からものを考えられるようになっていきました。人は、まわりの人によって変化します。そういう意味で、東京大学は私を変えてくれる、いい環境でした。
工学部3年のとき、「ウェブ開発をすれば、ザッカーバーグになれる」という話を聞き、ウェブ開発の講義をとりました。ちょうどフェイスブックが日本でも多く使われだしたころのことです。そのときの先生が、現在、AI(人工知能)研究の第一人者として知られる松尾豊先生(東京大学大学院工学系研究科教授)です。その後、4年次に松尾先生の研究室に入り、大学院に進みました。
松尾先生には「学術の成果は、社会に還元したほうがいい」という信条があり、学生にいつも起業をすすめています。DeepXを立ち上げる前、私にも何回か「会社をつくらないか?」と声をかけていただいていました。しかし、当時はなかなか起業する気にはなれずにいました。