2025年度大学入学共通テスト(新課程)の出題方針・変更点

試作問題が公表、「情報Ⅰ」の新設に加え国語・数学の配点等も変更

2022年11月9日、大学入試センターより2025年度大学入学共通テストの出題教科・科目の出題方法等、ならびに問題作成の方向性・試作問題等が予告・公表されました。正式な実施方法は2023年6月に公表される予定ですが、これで方針がほぼ示されたことになります。

2025年度大学入学共通テスト出題方法等

「情報Ⅰ」の導入

2025年度共通テストより「情報Ⅰ」が新設されますが、試験時間は60分、配点は100点と公表されました。この内容に基づいて、各大学が入試での利用方法を決定することになります。

また試作問題では、「情報Ⅰ」は大問4題で構成されますが、その内3つの大問は、旧課程履修者等への経過措置科目である「旧情報(仮)」と共通の出題になっています。加えて導入初年度である2025年度については、「情報Ⅰ」「旧情報(仮)」いずれも、受験者が1万人未満であっても得点調整の対象となることも予告されています。

2025年度共通テスト「情報Ⅰ」

東京大学や大阪大学などの一般選抜では「情報」を必須とすることが公表されていますが、詳細な利用方法は未公表です。一方、北海道大学は既に「情報」は入試配点に組み込まないと予告しています。2022年度中に各大学から詳細な利用方法が公表される予定であるため、どのような配点・利用方法になるか、チェックする必要があります。

2025年度共通テスト「情報Ⅰ」利用方法【一般選抜】

試験時間・配点等の主な変更

試験時間割

1日目の時間割にはほとんど変更がありませんが、新設される「情報Ⅰ」が2日目の最終(17:00~18:00)に設定され、これまで基礎科目が午前、基礎がつかない科目が午後と分割されていた「理科」がどちらも午前実施となる案が示されています。

2025年度共通テスト試験時間割予定

国語

これまで大問4題の出題(現代文2題、古文1題、漢文1題)でしたが、試作問題は大問5題(現代文3題、古文1題、漢文1題)と新たに現代文1題が追加される形で構成され、配点は各50点×4の現代文100点+古文漢文100点から現代文110点+古文漢文90点となっています。なお試験時間は80分から90分に変更となります。

共通テストの成績は、特に私大等で「現代文のみ利用」という利用形式もあるため、これまでの100点満点から110点満点になることで、各大学が共通テストの成績をどのように利用するかにも影響が生じそうです。

2025年度共通テスト「国語」

地歴公民

科目名・内容が大きく変更となる地歴公民ですが、試作問題では、「地理総合、歴史総合、公共」を除く5科目の配点内訳は、必履修科目である「歴史総合」「地理総合」「公共」の内容が25点、選択科目である「世界史探究」「日本史探究」「地理探究」「倫理」「政治・経済」が75点という配点に統一されています。
一方、「地理総合、歴史総合、公共」は各科目50点配点の中から2科目を選択する形です。

2025年度共通テスト「地歴公民」

なお、科目名が同じものは問題も共通であり(ex.「地理総合、歴史総合、公共」で出題される「地理総合」と「地理総合、地理探究」で出題される「地理総合」は共通問題)、2科目選択する場合、同一名称科目を含む組み合わせは選択不可となります。

数学Ⅱ・B・C

数学②は2025年度共通テストより数学Cも加えた3科目の出題に一本化されますが、試作問題では数学Ⅱから大問3題、数学B・Cから大問4題の合計7題で構成されており、数学Ⅱ大問3題(「三角関数」「指数関数・対数関数」「微分・積分の考え」)が必答、数学B・C大問4題(「数列」「統計的な推測」「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」)から3問を選択となっています。

必答問題は実質的にこれまでと同様ですが、選択問題は1題追加されることになり、その点も踏まえ試験時間が60分から70分に延長されます。また配点の内訳は、数学Ⅱ必答問題3題で52点、数学B・C選択問題3題で48点となっており、従来の数学Ⅱ必答問題60点、数学B選択問題40点から、数学Ⅱのウエイトが低下し数学B・Cが上昇する形となっています。

2025年度共通テスト「数学Ⅱ・B・C」

得点調整

2022年11月16日、2025年度共通テスト以降の得点調整の方法改善についての提言も大学入試センターから公表されました。

これまでは「対象科目で平均点差が20点以上開いた場合、試験問題の難易差によるものであれば15点差となるように調整」(受験者1万人を下回る科目を除く)が行われてきました。しかし、平均点差は開かずとも、9段階での段階表示での同段階間での得点差が大きく開く可能性があることを考慮し、段階表示の得点差も一定範囲に収まる方法が望ましいとされています。

この方針により、「20点以上の平均点差が生じた場合」に加えて、「15点以上の平均点差+段階表示の区分点差が20点以上生じた場合」(受験者1万人を下回る科目を除く)も得点調整を行うことが提言されました。この提言については2023年2月まで今後の在り方の意見募集が行われており、2023年6月頃までに決定される予定です。

2025年度共通テスト得点調整方法の提言

今後のスケジュール

今回の公表内容も踏まえ、各大学は2022年度中に共通テスト利用教科・科目を予告することが求められています。その後、冒頭でも触れた通り2023年6月に正式な実施方針や出題方法が公表され、2024年6月頃に2025年度共通テスト実施要項が公表となる見込みです。

今回の方針をもとに各大学がどのように共通テストを利用するのか、大学が発信する情報は早めにキャッチできるよう注視しておくと良いでしょう。

※SAPIX YOZEMI GROUPでは、2025年度共通テスト試作問題についての分析を代々木ゼミナールHPで公開しています。
https://www.yozemi.ac.jp/nyushi/bunseki/index.html