国語の出題概要・学習アドバイス

2022年度 東大2次出題概要・学習アドバイス

出題内容・配点・試験時間

配点・試験時間
配点 試験時間
文科国語 120点 150分
理科国語 80点 100分
出題内容
大問 出題科類 出題分野 出題内容(出典)
第1問 文理共通 現代文
(評論)
鵜飼哲「ナショナリズム、その〈彼方〉への隘路」
第2問 文理共通 古文
(物語)
『浜松中納言物語』
第3問 文理共通 漢文
(論説)
『呂氏春秋』
第4問 文科 現代文
(随筆)
武満徹「影絵(ワヤン・クリット)の鏡」

出題概要・分析

第1問(現代文・文理共通)
海外の博物館で日本人ガイドから手厳しく指弾された筆者の体験を下敷きにして、ナショナリズムが排他的で自然に反するものであることを述べた文章。本文の論旨に即して説明すべきことをまとめる力が求められています。内容的に「ナショナリズム」や「自然」という抽象度の高いテーマが扱われており、受験生はやや難しく感じたかもしれません。問5の漢字書き取りは8年連続で3問の出題です。
第2問(古文・文理共通)
渡唐した中納言が、帰国を前に御門の后との別れを悲しむ内容の文章。本文は場面展開に乏しく、やや読みにくいものです。問2(文理とも)は下の句の大意を説明させるもので、やや難しく感じる受験生も多いかもしれません。現代語訳・内容説明ともに、解答をまとめる上では基礎的な語句・文法知識の運用力、および出題意図の正確な把握がカギになります。
第3問(漢文・文理共通)
御者の例をもとに、国家統治に権威は必要だが、愛情や実利の心がなく不適切に用いると破滅を招くことを述べた文章。文科の問4および理科の問3の理由説明では、「威」と「愛利」の関係を的確に捉える必要があります。現代語訳・内容説明ともに、重要語と句法の正確な理解に加えて、表現や描写の深い所にある書き手や出題者の意図を想像しつつ読解する力が求められています。
第4問(現代文・文科)
壮大な自然やインドネシアの民俗芸能に接した際の感慨を語った文章。傍線部の表現を文章の趣旨や展開に即して解釈し、答案としてまとめる力が必要です。文科の第4問としては標準レベルと言ってよいものです。ぼんやりとした解答のイメージは思い浮かぶものの、いざ書こうとすると思考をさらに深めなければならない所に文科第4問の難しさと面白さがあります。その観点で見ると今回の出題は例年以上に良問という印象です。

学習のポイント

現代文
本文の構成を意識しながら文章を読み解き、書くべきポイントを把握した上で、傍線部の表現(指示語、比喩など)に留意しつつ答案を作成することが求められています。限られたスペース内に簡潔に書く練習や、本文全体を踏まえた120字程度の要約を習慣的に行うとよいでしょう。第4問(文科のみ)も同様です。
古文
易しめの文章に慣れてきたら難しめの文章にも積極的に取り組んでください。語彙・語法に注意しつつ、人物関係や省略語を補って文意の通った解釈をする練習をしましょう。共通テスト対策で一通り基礎事項について確認するはずですが、東大対策としてそれを一段高いレベルで活用できるようにしておきましょう。
漢文
近年は身近な問題に関連する素材がしばしば選ばれ、題材の論旨も把握しやすいものが多くなりました。しかし漢文の重要語や句法といった基礎知識がなければ、論述の要所を誤読しかねず、素材の主題も十分には把握できない作りになっています。重要語や句法の確認を怠らずに、総字数200字程度の漢文をじっくり読むという基本的な学習の繰り返しが不可欠です。