2021年度 京大一般選抜 志願状況

志願者数8年連続マイナス 前年比302人減

京都大の2021年度前期志願者は7,045人で、対前年302人の減少(-4.1%)となりました。2013年度に8,460人の志願者を集めて以降8年連続のマイナス、この間1,400人超が減り、志願倍率も0.3ポイント下がりました。また、第1段階選抜の不合格者も前年より19人減少し、48人となりました(無資格者を含む)。

京都大 2021年度志願状況(前期日程)
志願者数の推移(一般選抜前期)

文系の減少は、法学部(対前年指数89)と経済学部(93)、文学部(93)、理系では、工学部(92)と農学部(94)で下がりました。このうち、募集人員の多い法学部と工学部での志願者減少(あわせて-279人)が全体数を大きく押し下げた要因となっています。

工学部の共通テストの利用教科(配点)は「外国語」(50)、「国語」(50)、「地歴・公民」(100)で、「地歴・公民」の配点が高くなっています。2021年度の共通テストは、理系受験生で選択者の多い「地理B」の平均点が前年度センター試験より大きく下がりました(-6点)。他方、例年より平均点の高かった「数学」は入試で生かすことができず(「数学」「理科」は第1段階選抜のみに利用)、この共通テストの平均点の変動が出願時に影響を与えていると考えられます。

工学部学科間で生じる受験生とのミスマッチ

工学部を学科別に見ると、人気の違いは明らかになってきました。2016年度からの学科別志願者数の推移を指数で示すと、情報学科は常に指数100を超えているのに対し工業化学科は志願者離れが加速しています。

工学部 学科別志願者数の推移

情報学科の募集人員(受入学生数の目安)は87人であるのに対し工業化学科は228人と2.6倍もの差があります。一方、志願者数(第1志望の数)はそれぞれ352人と343人で情報学科が上回っています。このため第1志望に見る志願倍率は4.0倍と1.5倍で大きな開きが生じ、その結果、情報学科を第1志望とした多くの受験生が第2志望学科にまわる事態になります。

工業化学科の母体は1960年以降の石油化学・化学工学・高分子化学・合成化学系の複数学科が再編・統合された経緯もあり工学部では物理工学科に次ぐ定員となっています。情報学科は数理工学科と情報工学科を母体に1995年に設立された比較的歴史の浅い学科です。これからも続く「情報」に対する社会の期待と要望を考えても、この募集人員と受験生の志望とのミスマッチが改善されない限り、競争率の格差は解消されないでしょう。