2020年度実施の大学入学者選抜では、大学入学共通テストが導入されると同時に各大学の個別入試改革も進められています。現在のAO入試(アドミッション・オフィス入試)、推薦入試、一般入試のあり方を見直し、それぞれの入試区分で、確かな学力と多様な資質をもった受験生を受け入れる選抜方法に変わろうとしています。
その新ルールは2020年度より実施される予定で、名称とともに入試方法が変わります。現行のAO入試は知識・技能の修得状況に過度に重点を置いた選抜基準としない方針ですが、新ルールでの名称は「総合型選抜」となり、共通テストや大学実施の学力試験等の評価が必要になります。推薦入試でも、現在は学力検査が免除される場合がありますが、名称が「学校推薦型選抜」となり、学力試験等の評価とともに推薦書に「学力の3要素」に関する評価の記載が必要となります。一方で、一般入試は、「一般選抜」となり、学力試験だけでなく、受験生本人が記載する資料や調査書が積極的に活用される方向です。
この新ルールにより、高校で作成される調査書も改良され、生徒の多様な学習や活動履歴を記載できる欄が拡充され、受験生本人が高校での「活動報告書」を記入し志望校に提出する大学も増えることでしょう。すでに「次世代型入試」として京都大「特色入試」や大阪大「世界適塾入試」などでは先行して実施されています。また、一般入試でも「面接」の導入や「志望理由書」の提出が必要な大学・学部が増える傾向にあります。
現在、文科省の委託事業として関西学院大が代表校となって、調査書・提出書類や面接等を入試で活用する仕組み作りが進められています。高校でのeポートフォリオと大学へのインターネット出願システム「JAPAN e-Portfolio」が2019年度入試より一部の大学で実施されます。6月22日現在、参加大学数は95校(うち国立大16校)と僅かですが、高校での認知度が高まり、入試において主体性を測るツールとして有効に機能するようであれば、参加校数も拡大していくものと思われます。
このように、これからの大学入試選抜では学習成績だけではなく、部活動やボランティア活動、特別活動等も評価、活用される機会が多くなるでしょう。今後、入試の多様化は必至で、受験生は数ある入試区分のなかからどれが自分に最適か、を判断することになり今まで以上に大学入試情報の必要性が高まります。