共通テストは難化し、平均点が大きく低下。複数の科目で過去最低
2月7日に大学入試センターから公表された2022年度大学入学共通テスト実施結果の概要の中で、確定した共通テストの平均点が公開されました。
2年目を迎えた共通テストでは昨年度から平均点が低下した科目が多数みられ、特に生物が20点以上、数学Ⅰ・Aと数学Ⅱ・Bも20点程度と大きく下がり、日本史Bや化学も10点近く低下しました。2020年度までのセンター試験と昨年度の共通テストを含めても、数学Ⅰ・Aの37.96点、日本史Bの52.81点、化学の47.63点、生物の48.81点などは過去最低値で、数学Ⅰ・Aと数学Ⅱ・Bを合計して100点を下回る(81.02点)のも初めてのことです。
また、昨年度は公民と理科において科目間で20点以上の差があったため得点調整が実施されましたが、今年度は科目間差が大きくなることはなく得点調整は実施されませんでした。
特に文理ともに基本的に共通テストで5教科が課される国立大では、合計の平均点も非常に大きく低下することになります。5教科7(8)科目型が主流になった2004年度以降、ここまで低くなるのも初めてのことで、国公立大学入試の共通テストの合否ボーダーラインや第1段階選抜などへの影響も予想されます。
概算にはなりますが、国立文系型・理系型の合計平均点をそれぞれ選択者の多い科目で算出してみても、昨年度から得点率で5~6%程度のマイナスになっているので、ボーダーラインについても同様に低下する可能性があると考えられます。
2年目で難化するとの見方もあった共通テストは今年度実際に難化する結果となりましたが、今後この傾向が続くかも注目です。過去最低点を更新した数学Ⅰ・Aなどは、平均点として低すぎるラインであるため、来年度は易化するだろうとみられます。一方、英語や国語は昨年度から大きな得点差はなく概ね6割程度の平均点に収まっているので、難易度は昨年・今年度程度で維持されるだろうと予想されます。
ただし、センター試験では6割程度の平均点となるように作題努力をしていると大学入試センターが公言していましたが、共通テストではその意向を継続しているのか公言はされていません。共通テスト導入にあたっての「試行調査」の段階では5割程度が目標とされていたこともあり、今年度はやや平均点が上昇した英語などもこのままの状態が続くとは言い切れないところがあります。数学Ⅰ・Aなども、平均点がかなり低くなったとはいえ、来年度の共通テストも問題の問い方といった部分が大きく変わることはないと考えられます。
受験生も過去問が増えることで対策は進めやすくなると思いますが、志望校の配点等も加味したうえで、入念な準備と対策が求められることになりそうです。
共通テスト受験者は昨年度よりも微増。私立型受験者の増加が目立つ
今年度の共通テストは浪人生等が減少したことが主に影響し志願者は昨年度から全体で約5,000人減少しましたが、受験者は4,270人増加しています。また、追試験のみの受験者は915人と昨年度に次いで過去2番目に多い数値です。
昨年度はコロナ禍により、共通テストに出願はしたものの総合型選抜や学校推薦型選抜で合格が決まり、共通テスト受験が不要になった受験生、特に学校推薦型の枠が既卒生と比較して多い現役生を中心に受験を回避するなどの影響があったとみられ、受験率(全志願者における受験者の割合)が90.45%と過去最低値でしたが、今年度はやや上昇し92.08%となりました。
2020年度以前の直近5年間の受験率が94~95%程度であったことと比べるとやや低水準ですが、昨年度の入試動向を踏まえ、各大学が個別試験を行わず共通テストの結果を利用して選抜する可能性を受験生が見越したこと、昨年度は共通テスト直前に大都市圏を中心に発出された緊急事態宣言が今年度はなかったこと、一昨年から続くコロナ禍対応へのある種の慣れ、昨年度共通テストがセンター試験と同程度の平均点に落ち着いたこと、といった点などが、受験率の回復につながった要因と考えられます。
受験科目数別の受験者数では、昨年度から最も大きく増加したのは私立型の3科目受験者でしたが、昨年度入試において一昨年度より最も減少していたのも3科目受験者で、増減が目立つ形となりました。