京大国語の特徴と傾向分析・学習アドバイス

Ⅱ 学習アドバイス

  1. 京大が求める学力と、その出題への表れ
  2. 主体的な文章理解力・表現力を身につける
  3. 現代文の学習について
  4. 古文の学習について

京大が求める学力と、その出題への表れ

京大の入学者選抜要項には、「国語の出題方針」として、以下のように述べられています。

1)「日本語の文章の論理や要旨、あるいは作者の心情や表現の意図を、的確に理解し、自らの言葉で論理的にその理解を表現できることを評価します」
2)「古典文法についての正確な理解を持つとともに、古典の修辞などの基礎知識をもち、的確に古文及び漢文の文章を理解できると同時に、原文を現代語訳できることを評価します」

いずれの内容にも、「理解」「表現(または現代語訳)」という言葉が含まれています。ここから、京大が単なる小手先の読解技術ではなく、文章内容を十分に理解し、自身で整理・再構成を行ったうえで答案に表現するという、「真の国語力」を問うていることが読み取れます。

先に述べた膨大な字数もその表れであり、単に傍線部周辺の表現を組み合わせたようなものではなく、主体的に説明を構築している答案を評価しようという姿勢がうかがえます。さらに、現代文、古文問わず、比喩や心情解釈のような、本文内容の深い洞察を必要とする出題が多く見られるのも特徴的です。

また、京大で過去に出題された出典を分析するに、

①随筆の出題が比較的多い
②著者が文学者や小説家である文章が比較的多い
③近年は一概に言えないまでも、やや時代の古い出典も多く使用される

といった傾向が見られます。

こうした点からも、他の大学と比較すると、「著者の論構造を整理し、端的に表現する力」よりは「文章内容の感受」を問うことに重きを置いた出題がなされているように感じられます。

京大が受験生に求めているこのような能力は、短期での習得が一層難しいものになります。「国語の点数評価」という次元を超え、時間をかけて「読解とはいかなるものなのか」ということを考え抜く姿勢こそが、一見遠回りでも、結果的には京大国語の得点獲得への第一歩となるでしょう。

主体的な文章理解力・表現力を身につける

主体的に文章を理解し、その理解を表現する力を養うためには、単なる演習問題の積み重ねのみでは不十分です。そうした力は、他でもなく自発的な読書経験の量に依存します。さまざまな分野に興味を持ち、多くの思想や知識にふれながら自分なりにかみ砕き、その中で生み出された新たな知見を他者と重ね合わせる…。そうした営みの蓄積が、大学で学ぶ土台として必要になると考えられているように思われます。

Y-SAPIXにはさまざまな分野の本をまるごと一冊読んで、討議したり小論文を書いたりする「リベラル読解論述研究」という講座があります。京大、そしてその先を意識した授業を通して、京大が求めているような、“文章内容の感受“や”自らの言葉で論理的に表現する“といった本質的な国語力を身につけていきます。

現代文の学習について

まずは京大入試に限らず現代文読解の基本として、①文章の大局を整理・把握する力と、②文章の細部を正しく理解する力が求められます。そのため、①の力をつけるべく、段落ごとの要旨を把握しながら本文全体の文脈展開を整理する訓練を積み重ねていくことが重要でしょう。

そして、京大の現代文では②の力が特に重要になります。一見すると単に傍線部の内容を説明する問題でも、本文から得られる“直接的な情報”のみで解答を作成することが難しい場合が多く見られます。課題文の内容を腑に落ちるまで理解しない限り、こうした設問に対して望ましい解答を作成することはできません。そのため、演習に取り組む際も、単に設問の正誤に満足するのではなく、時間をかけて文章に向き合い、一つの読書経験として深く正しい解釈力を養っていくことを意識しましょう。

古文の学習について

文章を読解するうえで必要な基礎知識を習得するとともに、文章を一語一語丁寧に読解する訓練をしておきましょう。正確な現代語訳をするためには、単語・文法の学習を厳密に行うことが大切です。それに加えて、京大古文では文脈の精緻な感受も重要です。背景となる思想や歴史などの知識も学んだうえで、正しくイメージを摑み取れるように読解の練習を重ねましょう。特に、和歌解釈の際は技法の知識の活用や単純な直訳のみでは不十分であり、「なぜそのような歌が詠まれたのか」という文脈を踏まえて内容を検討する意識が重要です。また、漢文単独の出題はこれまでなされていないとはいえ、基礎知識を身につけておくことは必要です。