理科の出題概要・学習アドバイス

2022年度 京都大学2次試験出題概要・学習アドバイス

出題内容・配点・試験時間

配点・試験時間
大問 配点 試験時間
第1問 100点 1科目 90分
2科目 180分
第2問
第3問

※学部・学科によって配点は異なる

出題内容
大問 出題内容
第1問 力学(円運動、放物運動、衝突)
第2問 電磁気学(電磁誘導、繰り返し回路)
第3問 熱力学(理想気体とゴムヒモ)

出題概要・分析

力学(円運動、放物運動、衝突)、電磁気(電磁誘導、繰り返し回路)、熱力学(理想気体とゴムひも)。2021年度に続いて力学が取り組みやすい内容です。

出題者の思考を読み取らせる独特の長文穴埋め式ですが、論理に飛躍がある箇所もあり、時には完全に解き切れなくても物理的にもっともらしい答えを書くと得点につながる場合もあります。広い解答枠に導出や計算を説明させる問いや、細部に注意を払う必要があるグラフ描図問題も毎年恒例です。

学習のポイント

物理の理解を定着させるためには問題演習が不可欠です。最初は典型的な解き方を真似すればよく、次は立式だけヒントを見て計算は自分で行うようにすれば公式の運用力がついてきます。問題を自力で解けるようになれば、答えの物理的な意味を考えたり、別解がないか検討したりすると理解が深まります。そしてこの段階を乗り越えた受験生は、時には難問にじっくり取り組むのもよいでしょう。

出題内容・配点・試験時間

配点・試験時間
大問 配点 試験時間
第1問 100点 1科目 90分
2科目 180分
第2問
第3問
第4問

※学部・学科によって配点は異なる

出題内容
大問 出題内容
第1問 2族元素の性質、水酸化物の溶解、水和物、電離平衡
第2問 硫酸の中和滴定、電離平衡、浸透圧
第3問 酸クロリドを用いた第1級アミンのアシル化、酸クロリドとアミンの構造決定
第4問 単糖と二糖の構造、単糖の酸化分解

出題概要・分析

2022年度は大問4題がそれぞれ(a)(b)の問に分かれ合計8題出題されていますが、平衡反応から2題、糖から2題と出題傾向が偏っています。解答時間に対して問題の難易度が高く量も多いため、全て解こうとすることは現実的ではありません。得意不得意や解く問題の選定などによって、合格最低ラインに届くかどうかが左右されてしまうでしょう。

例えば、Iの2族の総合問題やIIの浸透圧があまりに簡単な一方で、IVの糖の問題が非常に難しく、とりあえず解答を試みたとしても、途中で諦める判断が必要になるレベルです。また、平衡反応に関する2題はいずれも問題文の誘導に乗り空欄を埋める形式の問題で、上手く誘導に乗れず途中で行き詰まるとその後の問題が全滅してしまいます。さらに、京大の伝統的な複雑な結晶の問題と物質の三次元構造を考えさせる問題が扱われず、過去問対策が通用しないものになっています。

学習のポイント

化学に必要な能力を大胆に分類すると以下のようになります。

① 簡単な問題をより速く解く能力
② 一見複雑に見える問題を単純化し理解できる能力
③ 大量の情報から問題を解くために必要な情報を拾い出す能力
④ 一見関係ない情報を、因果を考え自分で多段階に繋げる能力

また、それぞれの能力を伸ばす対策を概説すると次の通りです。

能力①
広い分野を網羅する問題集やテキストを繰り返し解きます。あまり新しい問題に向かわずに同じ問題を繰り返すことが重要です。
能力②
すでに解ける演習問題を「他の人に解説」できるようにしましょう。自分が解けることと、それを人に解説することは似て非なる能力です。
能力③
能力②を鍛えると自然に身につきます。問題を解く過程とは化学の現象を理解する過程です。解法を美しく解説できるようになると、王道の流れが身につき、必要な情報の繋がりが見えるようになります。
能力④
これも能力②を鍛えることにより、単純な論理が組み合わさっていることを見抜けるようになります。

過去問で京大に特化した学習を行うことは当然大切ですが、以上のような能力を鍛え、簡単な問題をいかに単純に、美しく、人に説明できるよう、速く正確に解けるかという基本が非常に重要です。

出題内容・配点・試験時間

配点・試験時間
大問 配点 試験時間
第1問 100点 1科目 90分
2科目 180分
第2問
第3問
第4問

※学部・学科によって配点は異なる

出題内容
大問 出題内容
第1問 膜電位、イオンチャネル
第2問 遺伝、遺伝子組み換え、バイオテクノロジー
第3問 植物ホルモン、相利共生・寄生
第4問 共進化、競争

出題概要・分析

2022年度は2021年度に比べて難易度は変わっていないものの分量は増加した印象です。
また、生物の問題は思考力重視ですが、その出題は未知の題材による考察問題が基本的です。

その中でも1990年以降の新しい研究を題材とした出題は、京大の2022・2021年度では下表のテーマが挙げられます。難関な大学ほど新しい研究成果を積極的に扱っており、思考力を測るために「新しいネタ」を探そうとする傾向は今後も続くと思われます。

入試年度 出題テーマ 研究年
2022 ツリアブモドキとアヤメの共進化 2009
2021 フィトクロム応答性遺伝子発現 2001

学習のポイント

思考力は一朝一夕で身につくものではありません。特別な対策、特効薬や攻略法はなく、日頃どれだけ考える問題を解いているかが表れます。一方で知識は必須です。知識がなければ考えることはできません。

そのため、単元学習を進めるのと並行して問題演習を行い、知識の定着と思考力の育成を同時に進める必要があります。当然、単元を一通り網羅した段階では、知識は不完全、思考力も標準レベルの問題を解いて身につけたレベルです。より難しい問題を解くためには、反復して知識を確認しつつ、問題の難易度を段階的に上げて取り組む必要があります。さまざまな難関大学の過去問に数多く触れ、未知の内容を理解する読解力や実験を読み解く考察力、明解に説明する論述力を繰り返し鍛えておきましょう。

もう一点意識すべきは時間です。生物は解くのに時間のかかる科目です。特に論述問題の解くスピードは影響が大きいので、必要な情報を漏れなく盛り込み、かつ時間を切り詰めて手早くまとめる練習をしておきましょう。もう1科目との時間配分も大事です。しっかり戦略を立てて本番に臨みましょう。