国語の出題概要・学習アドバイス

2022年度 京都大学2次試験出題概要・学習アドバイス

出題内容・配点・試験時間

配点・試験時間
大問 配点 試験時間
文系国語 第1問 50点 120分
第2問 50点
第3問 50点
理系国語 第1問 40点 90分
第2問 30点
第3問 30点

※配点合計は学部・学科によって異なる

出題内容
大問 出題科類 出題分野 出題内容(出典)
第1問 文理共通 現代文
(随筆)
岡本太郎「日本の伝統」
第2問 文系 現代文
(随筆)
高橋和巳「〈邪読〉について」
理系 現代文
(随筆)
多和田葉子「雲をつかむ話」
第3問 文系 古文
(歌論)
田安宗武『国歌八論余言』
理系 古文
(歌集)
建礼門院右京大夫『建礼門院右京大夫集』

出題概要・分析

第1問(現代文・文理共通)
伝統主義を批判し、自身が伝統創造の主体になる気魄を持つことを主張した芸術家の文章。問1の内容説明問題は「日本の伝統」を軸にして解答をまとめます。問3の理由説明問題は、筆者の石庭の見方に着目します。問5の全文把握問題は「美の発見」「新たな伝統の創造」に言及します。
第2問(現代文・文系)
耽溺・忘却を伴う筆者の読書法を中心に、読書の本質について論じた文章。問1の内容説明問題は、比喩的な表現をそのまま用いないように注意する必要があります。問2・3の理由説明問題は、それぞれ「独りよがりな読書法」「正しく健全な読書法」を意識して解答をまとめます。
第2問(現代文・理系)
「真に迫る」表現について文法的な観点から述べた文章。問1の内容説明問題は「紙」「眼球に刺さってしまったら」という比喩表現を一般化します。そのために前後の文脈を踏まえる必要があります。問3の内容説明問題は「文法の不正確さが逆に訴えてくるもの」に言及します。
第3問(古文・文系)
歌合によって詠歌の本義が損なわれたと述べるとともに、和歌の安易な改変を批判する文章。問1の理由説明問題は「浅ましき」につながるように解答をまとめます。問3の内容説明問題は『古今和歌集』仮名序を踏まえた表現です。「意」「詞」の内容を押さえる必要があります。
第3問(古文・理系)
死別した恋人のことを作者が回想している場面の文章。問1の内容説明問題は、設問で引用されている和歌の「あはれ」が「嬉しい」の意であることを押さえます。問2の現代語訳の「心には近き」は、時間的に「最近のこと」としても、心理的に「すぐそばに」としても構いません。「むつかし」はこの文脈に合う訳出で悩む受験生も多いでしょう。問3の現代語訳は「さこそ」が注の和歌の「はかなし」を指すことを押さえます。引き歌と文脈を踏まえた「さ」の訳出がポイントです。

学習のポイント

現代文
出題傾向を大きく変えないのが京大の特徴です。新しい過去問だけでなく古い過去問にもあたり、頻出ジャンル(言語論・文芸論・芸術論・科学論・哲学的随筆など)の読解の練習を積んでおきましょう。文学や言葉に関する評論を日頃から読んで慣れるとともに記述力を磨いておきましょう。語の意味内容・同義語などの知識を豊かにしておくことも大切です。
古文
現代語訳と内容説明問題が頻出です。問題文を丁寧に読解することを意識した上で、端的に表現する力をつけましょう。和歌解釈が出題されることもあります。基礎的な文法事項や語句の習得とともに、学校の授業をおろそかにしないようにしましょう。より正確な読解のためには文学史の知識も豊富にしておくとよいでしょう。