京大天文台特別講演@代ゼミ大阪南校「4次元デジタル宇宙シアター」

500mほどの小惑星で50億年前の神秘を探求

次は小惑星を見てみましょう。小惑星イトカワは、日本の小惑星探査機『はやぶさ』が表面の微粒子を採取して地球に持ち帰ったことで知られていますね。イトカワは岩石でできていて、ジャガイモのような形をしています。大きさは約500mと推定される小さな星ですが、なぜ『はやぶさ』はここへサンプルを取りに行ったと思いますか?

実はイトカワのような小惑星は誕生してから今日まで、岩石の組成があまり変わっていません。つまり、50億年前に太陽系ができたときに一体何が起きたのか、小惑星がどのようにできたのかなど、重要な情報を知ることができるわけです。

現在は後継機『はやぶさ2』が小惑星リュウグウを目指しています。リュウグウには水やアミノ酸があると考えられているため、地球の海の起源などが解明されるのではないかと期待されています。『はやぶさ2』は2020年頃に地球に帰還する予定です。どんな成果を持ち帰ってくれるのか楽しみですね。

壮大な宇宙のスケールを4次元で実感してほしい

私たちの太陽系は天の川銀河の片隅にあります。ところで、宇宙全体に銀河はどれくらいあると思いますか。まだはっきりと解明されてはいませんが、理論的には約1000億個と推定されていて、その銀河一つ一つに1000億ほどの恒星があると考えられています。膨大な数の恒星のひとつが太陽で、太陽の周りをまわる8つの惑星のひとつが地球です。その地球上に存在する生物のうちの一人が私であり、皆さんなのです。

こう考えると、自分自身に対する宇宙の大きさや、地球に対する宇宙の大きさなどが実感できるのではないでしょうか。人間の存在は小さいものです。しかし、高度に知能が発達しているため、こうして宇宙について知ることができるということも併せて考えてみてください。

上映後は青木先生が案内役を務める「京都千年天文学街道ツアー」の紹介や京大天文台の説明、参加者との質疑応答などが行われ、有意義な講演会となりました。

次々と繰り広げられる圧巻の映像美に、宇宙や天文への興味・関心をさらに深めた参加者も多かったようで、「天文学への関心がさらに高まった」「将来は宇宙に関わる仕事に就きたいので勉強になりました」などの感想が寄せられました。こうした感動体験が皆さんのあらたな可能性を拓く糸口になるのではないでしょうか。

今後もSAPIX YOZEMI GROUP では、さまざまな学びの機会を提供していきたいと考えています。