安藤正樹氏インタビュー

自分を信じて目標に向かってもがく
「先が読めない人生は面白い」

転機が訪れたのは28 歳の頃です。当時、友人の結婚式が相次いで、結婚式の素晴らしさを実感する機会が増えたんです。結婚式は本当に幸せがあふれていて、新郎新婦だけでなく、参列者も楽しいし、式場のスタッフさんたちも一緒に泣いていたりする。それまで携わっていたインターネットの仕事は世の中を便利にするけれど、結婚式のように一生の思い出に残るということはない。それで、ブライダル業界に飛び込んだんです。

結婚式は究極のリアルのサービスです。お客様はもちろん、スタッフも含め人間同士が密接にかかわる仕事でやりがいがあるのですが、一方で驚くほどアナログの世界なんです。そこで自分は、それまで培ったITの技術を活用して、より便利で快適なサービスを提供したいと考えるようになりました。ITのバックグラウンドを持った人はブライダル業界では珍しく、自分の価値がここにあるのだと発見できたのです。

6年前に独立し、創業。社名の「リクシィ」は「リアル×IT」という意味で、ITを使ってリアルの世界のサービスをより豊かにしていきたいという思いを込めました。現在展開しているサービスは、ウエディングに特化したソリューションの提供。新郎新婦のご希望に添う会場探しをメインに、人材紹介や転職支援などブライダルビジネスのサポート事業も行っています。

経営者には大変なことや苦しい場面もありますが、自分で考えて物事を決め、自身の選んだ道を進んでいける面白さがあります。思えば、大学1年の終わりに友人と2人で行ったヨーロッパ旅行もそうでした。最初と最後の目的地だけを設定し、ホテルも予約せずに20日間で5カ国を周遊しました。行き当たりばったりの旅なのでハプニングもありましたが、それがものすごく楽しかった。「先が読めない人生って面白いかもしれない」と感じた経験は、いまにつながっているような気がします。

安藤 正樹 氏

「社会に出たら正解のない旅が続く」と安藤氏は言う

社会に出てからは、このようないわば正解のない旅が続きます。いま、受験勉強の真っただ中にいる方は目の前の受験に対して、「どこまでやれば合格できるのか」と不安でいっぱいかもしれません。ですが、社会に出たら何事も完璧な法則などはなく、結果は運にも左右されます。そんな中で、不安を抱えながらも自分を信じて目標に向かってもがき、チャレンジした経験が、みなさんにとって将来の大きな糧になるはずです。

また、学校での数学や国語といった勉強は、社会に出てからも役立ちます。例えば数学は課題をどのように解くかという教科なので、仕事の課題について、類似の現象と比較するのか、過去の実績と置き換えて考えるのか、どのようにアプローチしていくかという思考力に結びついてきます。国語は知識のインプットとアウトプットが必要な教科ですが、例えば営業の場面で相手の要望を聞いて(インプット)、何を提案するか(アウトプット)という力の基盤になります。このような形で社会でも学校の勉強が十分に役立つので、日々の勉強も大切にしてほしいですね。

企業情報
会社名 株式会社リクシィ
設立 2016年
事業内容 結婚式相談カウンターDX事業
toC営業DX事業
結婚式場サポート事業
本社所在地 〒105-0004 東京都港区新橋一丁目18番21号第一日比谷ビル THE HUB 新橋 511
企業ホームページ

https://rexit.co.jp/

リクシィのウエディングサービス「tokihana」
https://tokihana.net/

※本インタビューは「2022東大京大AtoZ」(2022年8月 SAPIX YOZEMI GROUP発行)に掲載されたものです。