京大花山天文台レポート

花山天文台の歴史と伝統

京都市山科区の花山山のハイキングコースを登って、花山天文台に到着した。

花山天文台は大学天文台としては日本で2番目に設置され、現在86年経つそうだ。本館、歴史館、別館、太陽館の4つの建物を見学させていただいた。この4つの建物の内、歴史館以外には望遠鏡があり、本館には45cm屈折望遠鏡、別館にはザートリウス18cm屈折望遠鏡、太陽館には70cmシーロスタット望遠鏡がある。

花山天文台本館

本館45cm屈折望遠鏡(京都大学天文台提供)

本館45cm屈折望遠鏡
(京都大学天文台提供)

まず本館に向かった。本館の望遠鏡は、日本で3番目に口径が大きい屈折望遠鏡で、現在でも重力時計という、おもりの下がっていく力を利用し星の追尾を行う方式を用いている。

さらに望遠鏡の向きを合わせるのも下から紐を引っ張って手動で合わせる必要があり、思い通りに観測するのにはかなりのコツが必要らしい。

「望遠鏡は電動で自動的に向きを合わせてくれる。」と思い込んでいた私には手動というのはなんとも驚きであった。

また、ドームには、星を観測するために長方形の窓が開いている。この観測穴はドーム全体が回って観測したい天体に向けて調節する仕組みになっており、実際に動かしていただいた。これは、現在は電気駆動であるが、手動用のハンドルも残っていた。いずれもかなりの歴史を感じられるものであったが、今でも作動しているのを見ると感銘を受ける。

続いて、歴史館に足を運んだ。こちらは時刻を正確に測るための施設として用いられていたが、現在は資料が展示されている。ここでは花山天文台の歴史などについての説明を受けた。「花山天文台は、元々は現在でいう吉田キャンパス本部構内の附属図書館や総合博物館の付近にあった天文台の望遠鏡などが移設されてできたものです。」との説明を受け、普段自分が勉強をしている附属図書館近くに天文台があったことを知り、京都大学にいながら知らなかった情報も得ることができた。

ツアーを終えた後、その辺りに行ってみると当時の面影は何もなく、瓦礫の山がそのまま放置されていた。これがあの花山天文台の前身だったのかと思うと他の京大生が知らない京都大学のことを知ることができて嬉しい気持ちになった。