高橋良和准教授インタビュー

物理・数学・化学など理系の知識を総動員して活躍できるのが「地球工学」の世界

受験生の皆さんへのアドバイススペシャリストでありながら、ゼネラリストでもあってほしい

—— 京都大学の准教授として、そして土木研究者として、今後の未来を創る若者たちに高橋准教授が贈るメッセージとは?

やはり、まずはいろいろなことに興味を持ってほしいと思います。すべての原動力は “好奇心”。他人から与えられたものではなく、自分から見つけていかないと心から熱中することはできないと思うので、そのためには日頃から自分でアンテナを張って、自ら取り組んでみることが大切でしょう。

高速道路にしても治水の話にしても、「土木」という分野は、高校までの教育では社会科で教わっています。だから文系的な要素が強いと勘違いされがちですが、実は、物理や数学、化学などの理系の学問がベースになる研究分野です。例えば、橋の耐震実験をするにも、実物をつくって壊すわけにはいきませんから、小さな模型をつくったり、コンピューターでシミュレーションを行ったりするわけですが、こうしたモデル化をする際に必要になってくるのは、まさに理系的な知識です。理系を得意とする人ほど、取り組んで面白く、また実際に活躍できる分野だと思います。

大学では当然ながら、何か一つの分野においてスペシャリストになる教育が行われるわけですが、こと「土木」においてはスペシャリストでありながら、合わせてゼネラリストであることも求められます。専門知識があるのは当然のこととして、横に広がる知識も大切なのです。昨年100周年を迎えた土木学会の初代会長の言葉を借りれば、土木技術者は、「将に将たる人」でなくてはなりません。機械や材料といった各専門分野を総合的に取りまとめていく、いわば指揮者の役割を果たすのが、土木技術者です。そういう意味でも、若いうちからいろいろなことに興味を持ち、知見を広げていくことが大事ではないでしょうか。

一般に目にする土木従事者と、大学の中で行われている土木研究とは、なかなか結びつきにくいですが、科学的知識を駆使して社会に還元するという「土木」の魅力に、ぜひ皆さんにも気付いていただければと願っています。


知っていますか?こんな国道

国道174号線
兵庫県神戸市中央区の神戸港から国道2号線に至る国道。全長がたったの約187mしかなく、日本で一番短い国道である。
国道339号線
人呼んで「階段国道」。青森県弘前市から東津軽郡外ヶ浜町に至る国道だが、竜飛岬付近に一部、階段となっている箇所があり、車両は通れない。
国道418号線
福井県大野市〜長野県飯田市をつなぐ国道だが、ダム建設のために一部が廃道となり、車両ばかりか人も通行できない。
国道58号線
沖縄返還の年に制定。当時の慣例からすれば3桁の数字が制定されてしかるべきであったが、なぜか2桁に。その背景にどんな想いがあったのか、想像の膨らむ道である。歌の歌詞などにもよく登場し、沖縄のソウルロードと言っても過言ではない。