私立大学における医学部の系譜

医学科(筑波大、金沢大は医学類)のある大学は、全国に国立42校、公立8校、私立31校(以上文部科学省所管)、準大学1校(防衛省所管の防衛医科大学校)の計82校あります。志望大学がどのグループに含まれるのか、設置された経緯とともに確認しておきましょう。

私立大学の医学部医学科は、設立された年代により3つのグループに大別されます。加えて2016年に特例により1校、2017年に国家戦略特区における規制緩和により1校新設されました。一般的に、伝統のある大学、また学費が安い大学は難易度が高くなっています。

私立御三家

明治維新以降、政府が進める研究を主眼とした方針とは異なり、臨床を主目的とする私立大学として出てきました。大正期には慶應義塾大が医学部を設置し、東京慈恵会医科大、日本医科大は医科大学として改組しました。

これら3大学は旧制医科大学と同じような歴史があることから、「私立御三家」として知られています。

私立 慶應義塾大学、東京慈恵会医科大学、日本医科大学

旧医学専門学校など(10大学)

私立御三家に続く形で、歴史はありながらも戦後に医科大学に昇格した私立の旧制医学専門学校です。ただ日本大は専門部医学科から1942年(昭和17年)に旧制大学医学部に昇格しています。

私立 岩手医科大学、順天堂大学、昭和大学、東京医科大学、東京女子医科大学、東邦大学、日本大学、大阪医科薬科大学、関西医科大学、久留米大学

新設医大(16大学)

戦後の人口増に伴う医療需要の増大に対応するため、1970年代の10年間に設立されました。

自治医科大は地域医療の中心的役割を担う医師の育成を目指し全国の都道府県が共同して設立した大学であり、産業医科大は日本で唯一、産業医養成を目的に設立された大学です。

私立 自治医科大学、獨協医科大学、埼玉医科大学、北里大学、杏林大学、帝京大学、東海大学、聖マリアンナ医科大学、金沢医科大学、愛知医科大学、藤田医科大学、近畿大学、兵庫医科大学、川崎医科大学、福岡大学、産業医科大学

特例による設立(1大学)

東日本大震災の被災地の復旧・復興の施策の一つとして位置付けられた「東北地方における復興のための医学部新設の特例措置」により、東北地方に1校に限定して医学部新設の認可が検討され、2016年に設立されました。

私立 東北医科薬科大学

国家戦略特区における規制緩和による設立(1大学)

東京圏国家戦略特別区域の一部として指定された千葉県成田市の特区事業として認定され、2017年に設立されました。

私立 国際医療福祉大学